公益財団法人 山本能楽堂のプレスリリース
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令和6年度、令和7年度の通算で全108日の公演・イベントを開催。来訪者数は、外国人2,228人を含む22,642人を達成。
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2年間の全公演・イベントに対する外国人の平均満足度は90%で、全体平均82%を大きく上回り、上方伝統芸能がインバウンドの推進においても十分に魅力的なコンテンツとなることを証明。
公益財団法人 山本能楽堂(大阪市中央区)では、能を「現代に生きる魅力的な芸能」として、その素晴らしさを多くの方々に広め未来に継承していくことに力を入れており、伝統的な能の定期公演に加え、外国の方を含めた能に馴染みの薄いお客様にもその魅力を体感していただくための多彩な活動を行っています。
その一環で、文化庁がインバウンドや国内観光需要の喚起を目的に進めた「日本博2.0」の委託型事業(令和6年度、令和7年度)として「大阪に伝わる上方伝統芸能のブランド化によるインバウンド推進事業」を展開。能楽をはじめ上方伝統芸能の魅力を伝える公演・イベントをインバウンド向けにさらに磨き上げ、大阪の歴史や文化と共に発信する活動を精力的に行い、大きな成果を収めました。
2年間の期間中に行われた公演・イベントの日数は全108日。通算の来訪者数は外国人2,228人を含む22,642人。外国人の全公演・イベントの平均満足度は90%で、全体平均の82%に比べても非常に高い結果となりました。能楽は、内容が難しそうという先入観や、興味があっても初心者や外国人が気軽に楽しめるプログラムが少ないなど、一般にハードルが高い芸能と認識されることが多いですが、今回の事業を通じて、対象者を考慮した工夫をすることで、インバウンド向けコンテンツとしても高い可能性を持つことをあらためて確認しました。
取組みの工夫として、従来の「日本人を主対象とし、外国人も共に楽しめる」構成から、「外国人を主対象とし、日本人も共に楽しめる」構成へと発想を転換したこと、また、これまで分離されがちであった「鑑賞型の公演」と「体験型プログラム」を融合し、「公演+体験」という一体的な構成とし、多言語対応で提供したことで、上方伝統芸能への理解が深まり、満足度が大きく向上しました。さらに、それらの公演を毎月複数回、継続的に開催することで、認知度と参加機会が向上し、外国人来場者数の増加につながりました。結果として、複数の上方伝統芸能のオムニバス公演「上方伝統芸能ナイト」と体験型ワークショップ付き能公演「とくい能」における外国人比率は高まり、49%と29%となりました。
また令和7年度は、大阪・関西万博の開催にあわせて、万博会場内で上方伝統芸能のライブパフォーマンス公演や展示・体験イベントを数多く実施。訪日外国人を含め、その場に居合わせた多くの人々に上方伝統芸能を観て体験してもらい、幅広い層の関心を喚起し認知を高めることができました。
山本能楽堂では、今後も伝統的な能の上演に加え、インバウンドのお客様や能に馴染みの薄い方が気軽に能の世界に触れその魅力を体感していただくための多様な公演、さらには世界に向けた発信も行ってまいります。 現在、山本能楽堂が取組んでいる多数の公演・イベントの予定と詳細は公式ウェブサイトをご覧ください。 https://noh-theater.com/schedule.php
<近日開催の主な公演予定>
本年も引き続き体験型ワークショップ付き能公演「とくい能」をインバウンド対応環境で開催いたします。8月までの開催予定は下記のとおりです。
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開催日 |
開演時間 |
演目 |
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4月25日(土) |
15:00〜 |
半蔀(はじとみ) |
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5月9日(土) |
15:00〜 |
鵜飼(うかい) |
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7月23日(木) |
19:00〜 |
土蜘蛛(つちぐも) |
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8月1日(土) |
15:00〜 |
班女(はんじょ) |
*プログラム詳細は公式ウェブサイトを参照ください。 https://www.noh-theater.com/schedule.php
<公益財団法人 山本能楽堂について>
昭和2年(1927)、観世流能楽師の山本博之により創設。約100年の歴史を持つ大阪で一番古い能楽堂。 現在の施設は1950年に再建された3階建の木造建築で、市街地にありながら伝統的な能舞台を持つ能楽堂として平成18年(2006)に「国登録有形文化財」に登録されました。
ユネスコ無形文化遺産にも認定される能楽を「現代に生きる魅力的な芸能」として次世代へ継承することにも注力し、現代的な視点を取り入れたオリジナル演目のプロデュースや、誰でも楽しめる能楽体験や舞台裏見学、海外公演なども多数開催しています。
公益財団法人 山本能楽堂
事務局 山本、山中
TEL: 06-6943-9454
Mail: yamamoto@noh-theater.com
公式ウェブサイト: https://noh-theater.com
<参考情報>
令和6年度、令和7年度「日本博2.0」事業(委託型) 活動概要
事業名: 「大阪に伝わる上方伝統芸能のブランド化によるインバウンド推進事業」
事業目的:
2025年大阪・関西万博が開催されるにあたり、上方伝統芸能の魅力をさらに磨き上げ、大阪の歴史や文化と共にインバウンド対応環境を整備し、世界にその魅力を伝えることで、大阪で育まれ伝えられてきた上方伝統芸能の次世代への継承へとつなげる。
5つの柱となる取組:
上方伝統芸能をブランド化し、その価値を向上させ、インバウンドを含む観光客が繰り返し訪れる街づくりに繋げ、次世代へ伝統芸能を継承することを目指し、5つの柱となる取組を設定、展開した。
1)上方伝統芸能のショーケース公演「上方伝統芸能ナイト」の恒常的な開催
目的:外国人が多様な上方伝統芸能を知り、楽しめる、恒常的な環境を整備
内容:大阪に伝わる雅楽、能、狂言、文楽、落語、浪曲、講談、上方舞、女道楽、筑前琵琶などの上方伝統芸能が一堂に会するオムニバス型の公演を、インバウンド対応で恒常的に開催。英語による司会と解説や、英語や多言語による字幕や資料等も提供。また、外国人観光客が参加しやすいよう、舞台上での上方伝統芸能の体験コーナーも実施。さらに、英語以外にも、韓国語、中国語、フランス語のスペシャル公演も開催した。
2)体験型ワークショップ付能公演「とくい能」の開催
目的:体験型ワークショップ付能公演で外国人の認知向上と理解促進
内容:インバウンドに向けて、初心者でも気軽に能楽を楽しめ、理解を深められる機会として、ダイジェスト版の能の上演に加え、上演前の日英での解説、上演中の字幕表示、上演後のアフタートークとQ&Aコーナーを設けた。また、終演後に、能面、装束、楽器の体験も実施。体験型ワークショップ付能公演として恒常的に開催した。
3)インバウンド向けストリートライブ公演
目的: 上方伝統芸能に馴染みの薄いライト層への認知拡大と劇場への誘客
内容:大阪・関西万博会場でライブパフォーマンス公演や展示・体験イベントを数多く実施。その場に居合わせた多数のインバウンドに観て体験してもらい、上方伝統芸能の魅力を発信し、幅広い層の関心を喚起し、大阪・関西エリアの劇場への誘客につなげた。特に海外からの観光客が多く集まる大阪ウィークやジャパンデーにあわせて公演・イベントを開催し、世界に向けてその魅力を発信し、認知を高めた。さらに人気パビリオンのクラゲ館プロデューサー中島さち子氏とのコラボレーションにより、新作能「いのちの能Jirin『時の輪』~巡り巡りて」を万博会場の「いのちパーク」、イタリア館、クラゲ館において上演し、万博のレガシーとして構築した。
4)山本能楽堂の開放事業
目的:文化施設を気軽に訪問・見学できる機会の提供
内容:国登録有形文化財の山本能楽堂を一定期間開放し、外国人観光客が短時間で気軽に文化施設を訪問・見学できる環境を提供。外国人がセルフで楽しめるよう能楽堂内の展示説明の多言語化を行い、3D能面、3D能楽堂のデジタルコンテンツも提供し、帰宅後でも楽しめるようにした。普段は見られないバックステージの見学や、能面、装束、楽器の体験も実施。開放する時間帯を朝、昼、夕方からと時間を変えて実施し、訪問時間の利便性にも配慮した。
5)「特別な体験プラン」による知的富裕層の満足度向上事業
目的:知的富裕層や伝統芸能・日本文化ファンの顧客満足度向上
内容:大阪城を築城し能の愛好家で知られる秀吉をテーマとした「太閤秀吉が愛した饗応の宴」と「天下人・豊臣秀吉が愛した能」を開催し、大阪や秀吉と能楽の関係性を紐解き、地域や歴史の魅力と「サムライの芸能」として発展した能の魅力を伝え、その相乗効果で記憶に残る小グループ向けの「特別な体験プラン」を提供した。来訪者が秀吉になった気分で能を鑑賞できるように能楽堂全体に特別な設え(満開の桜、タペストリーや提灯)を施し、大阪歴史博物館館長の大澤研一氏による「秀吉と能」についての解説、秀吉が舞ったと記録が残る演目のダイジェスト版の上演のあと、秀吉ゆかりのお菓子と抹茶の提供や能面・能装束の着付けや楽器体験を行い、日本文化を総合的に体感できる特別なイベントとして高い満足度を得た。
事業の成果:
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令和6年度および令和7年度の2年間で全108日の多様な公演、イベントを開催し、外国人が恒常的に能楽をはじめとする上方伝統芸能に触れる機会を創出した(上方伝統芸能ナイト29日、とくい能12日、万博会場内イベント17日、山本能楽堂特別開放6回のべ47日、秀吉をテーマとした能2日、新作能水の輪1日)。その結果、期間中の来訪者は、外国人2,228人を含め、通算で22,642人を達成した。来訪者中の外国人の割合は、上方伝統芸能ナイトで49%、とくい能で27%と、従来に比べ非常に高い割合となった。インバウンドを主体とした公演を恒常的に開催したことが、外国人来訪者の増加に寄与した。
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全公演・イベントの満足度は全体で82%、外国人では90%となり、外国人の方がより満足度が高かった。外国人を主対象に、「鑑賞型の公演」と「体験型プログラム」を融合した新しい構成の企画を展開したことで、上方伝統芸能への理解が深まったことが高い満足度、さらには再訪意欲の向上に大きく寄与した。
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来訪者の日本以外の居住地は、上位から、(1)アメリカ、(2)ドイツ、(3)フランス、(4)オーストラリア、(5)イギリス、(6)中国、(7)イタリア、(8)台湾、(9)ロシア、(10)カナダで、全体では48にのぼる国/地域から来訪していただいた。
「日本博2.0」について:
2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)の機運醸成やインバウンド需要の回復、国内観光需要の一層の喚起を目指しつつ、日本の美と心を体現する文化芸術の振興およびその多様かつ普遍的な魅力を発信することを目的とした、文化庁ならびに独立行政法人 日本芸術文化振興会が企画したプロジェクト。
以上