日本漢字能力検定協会のプレスリリース
ベストストーリーテリング賞を受賞した大阪府立柴島高等学校「ベストストーリーテリング賞」受賞チーム
●大阪府立柴島高等学校(大阪府)
●作品テーマ:「未完(いま)」
●テーマの説明:
私たちはいま、どこにいるのか。どこにいたいのか。
明確でもない理想を描き、瞬時に現実に戻される。私はなにと戦っているのか。
様々な感情と葛藤に揺れながら狭間で生きる辛さ、苦しさを感じ、だがそれでも進まなければならない。
これが、未完成のいま。
審査員のコメント
第14回大会で、同賞を受賞した大阪府立柴島高等学校の作品テーマは「未完(いま)」でした。
「未完」はありふれた言葉で、読みやすくわかりやすい、平易な漢字語です。しかしそこには、いわくありげな漢字を並べただけの造語や、「こじつけ」としか思えない概念付与を施した「新語」とはかけ離れた、含味豊かな背景が看取されます。
シューベルトに「未完成交響曲」という有名な楽曲があります。シューベルトはオーストリアの有名な音楽協会から名誉ある資格を与えられた返礼として、あらたに交響曲を作曲して進呈することとしました。交響曲は4楽章からなるものですが、しかしシューベルトが実際に音楽協会に送ったのは第1楽章と第2楽章だけで、そのまま彼は他の楽曲の作曲に取り組んでいるうちに他界し、音楽協会に送った楽曲は没後に2楽章のみが「未完成交響曲」として出版され、演奏されることになりました。
シューベルトが交響曲を最後まで完成しなかった理由についてはさまざまな推測がありますが、結局のところはわかりません。もちろんそこに多くの逡巡や試行錯誤があったと思われますが、しかしすでに高名な作曲家であったシューベルトは、それを人生を再出発させるポイントとはしませんでした。
大阪府立柴島高等学校のメンバーは、「未完」を「いま」と訓じました。いかなるジャンルであれ、時間の推移に沿って位相を変化させる創造行為では、時間軸上にあるポイントにおいて、人は未来に向かって、楽観的とさえ思える前向きのポテンシャルを保持して前進を目指します。しかし柴島高校はその瞬間における自我を「未完」ととらえ、過去からの「もがき」を自覚しながら、未来への躍動を模索します。ここに「連続するいま」と真摯にむきあう、すがすがしいまでの青春群像が感じ取られます。
審査員:山崎信夫(日本漢字能力検定協会 代表理事 理事長)
阿辻哲次(漢検 漢字博物館・図書館館長、漢検 漢字文化研究所所長、京都大学名誉教授)
当協会が審査する『ベストストーリーテリング賞』とは
特別賞『ベストストーリーテリング賞』は、一昨年(第12回)の決勝大会より設けられました。
DCCでは、ダンス作品のテーマ(漢字二文字とよみがな)および作品テーマについての説明文章をエントリー時に提出します。同賞は、漢字二文字で表現する作品テーマに対し、独創性や表現力を評価するもので、「漢字への理解をどのように表現するか」という観点で審査を行っています。
同賞の審査は、一昨年、昨年に続き、山崎信夫 当協会代表理事 理事長と、阿辻哲次 漢検 漢字博物館・図書館館長・漢検 漢字文化研究所所長・京都大学名誉教授が務めました。
DCC概要
DCCは、全国高等学校のダンス部の頂点を決めるダンスのイベントです。漢字二文字に込められたテーマの表現力、技術力、独創性などを競います。(公式サイト: https://dcc.avex.jp/)

