株式会社KADOKAWAのプレスリリース
株式会社角川アスキー総合研究所(本社:東京都文京区 代表取締役社長:加瀬典子)は、シリコンバレーにかつて存在した伝説的なベンチャー企業であるゼネラルマジックの、誕生から消滅までを描いたドキュメンタリー映画『GENERAL MAGIC』のオンラインでの特別上映を、10月1日(木)、2日(金)、3日(土)の3日間にわたって行います。上映とあわせて、当時、ゼネラルマジックと共同して端末の開発にかかわった方々などをゲストに、この映画に学ぶスタートアップやイノベーションの本質について語る座談会も行います。
■上映スケジュール
第1回 10月1日(木)
19:00 『GENERAL MAGIC』上映開始
20:30 座談会 ゲスト:川島優志氏、齋藤洋氏
21:00 終了
第2回 10月2日(金)
19:00 『GENERAL MAGIC』上映開始
20:30 座談会 ゲスト:清水亮氏、原野守弘氏
21:00 終了
第3回 10月3日(土)
16:00 『GENERAL MAGIC』上映開始
17:30 座談会 ゲスト:鈴木直也氏、林信行氏
21:00 終了
※上映はZOOMのウェビナー機能にて行います。パソコン、スマートフォン等、視聴可能な端末をご用意ください。
■参加費
各回とも1,300円(税込): クレジットカード、コンビニ/ATM、PayPalでお支払いいただけます。
■申し込み(視聴を希望される方は以下にアクセスください)
https://generalmagic-movie-1001.peatix.com/
角川アスキー総合研究所では、今回の映画『GENERAL MAGIC』特別上映会に続いて、国内でのネット配信を予定しています。また、企業や学校向けのクローズドな上映会や、上映とあわせたイノベーションや起業家教育のためのワークショップも企画・実施いたしますので、お気軽にご相談ください。
映画 『GENERAL MAGIC』
【映画概要】
■上映時間:約90分
■監督:サラ・ケルーシュ、 マット・モード
■プロデューサー:マイケル・スターン、レイノルド・ディシルバ、 ジョン・ジャナンドレア
■制作:Spellbound Productions II
■仕様:英語音声・日本語字幕
■受賞:最優秀ドキュメンタリー映画賞受賞(ナパ・バレー映画祭、モンタナ国際映画祭、ウィリアムズバー グ国際映画祭、ロサンゼルス映画祭)
【予告編ムービー】
以下のURL、QRコードからアクセスください。
https://youtu.be/tlZyiIandWc
【ストーリー】
数々の賞を受賞したドキュメンタリー映画『GENERAL MAGIC』は、これまで語られてこなかった、素晴らしいビジョンと壮大な失敗が世界をどのように変えたかについての物語です。
ゼネラルマジックは、1990年に、アップル(当時アップルコンピューター)が、私たちの生活の中に溶け込む新しい情報機器を生み出すために設立した会社でした。それは、現在のスマートフォンに相当する端末や「クラウド」の概念をはじめて提唱するなど、当時としてはきわめて先進的な内容のサービスを目指していました。ところが、1993年に生みの親であるはずのアップルがライバルとなる「ニュートン」を発売。ゼネラルマジックはその理想主義と先進性ゆえに開発は難航をきわめます。1994年に、ソニーやモトローラから同社の技術を採用したモバイル端末が発売されますが、あまりに高額であることなどからまったく売れませんでした。そのようにして消えていった同社ですが、そこで育った同社で育ったエンジニアたちが、後に「iPod」を企画し、「Android」を作り上げ、「eBay」を立ち上げ、さらにはアメリカ政府のCTOにもなったことで知られています。失敗は終わりではなく、始まりだった。ゼネラルマジックが“シリコンバレーで最も重要な失敗企業”と呼ばれるゆえんです。
登壇者とコメント(50音順)
川島優志(Niantic, Inc. アジア・パシフィック オペレーション 副社長)
2013年、Googleの社内スタートアップとして発足したNiantic Labsに参画。『Ingress』のデザイン、『ポケモンGO』の立ち上げ、アジア地域の統括を担当した。2019年に副社長に就任。
――映画に登場するミーガン・スミスとは、グーグルに在籍していた時、一緒に仕事をしました。ナイアンティックの力強い支援者でもありました。イングレスの命名にも実は関わっています。もし彼女がいなければ、グーグルアースも、ポケモンGOも生まれなかったかもしれません。映画の中でも実際も、彼女の使う言葉には「『魔法』がどこにあるかを考え、誰もがもつやる気や才能を引き出す」想いが溢れており、アメリカ初の女性CTOにふさわしい素晴らしいヴィジョンとパッションを持った人でした。このドキュメンタリーフィルムは、そんな彼女や、Macを作り上げたビル・アトキンソン、アンディ・ハーツフェルド、iPhoneを作ったトニー・ファデルなど、シリコンバレーのスター集団が、夢見、挑戦し、苦悩した壮絶な挫折の記録であり、残した希望の種と共に心ゆり動かされる物語です。
齋藤 洋(当時、ソニーにて事業企画を担当)
MagicLinkを用いたNTT、AT&Tとの合弁事業企画会社NTT-FAN企画も兼務した。
――World Wide Webが世界中に普及する直前の時代、General Magicは、AT&TやNTT、モトローラやソニーらと共に世界を変える製品とサービスを開発しようとしていました。私はソニーに在籍しながら日本での商品化のために奔走していましたが、本格商用化に至りませんでした。そんな当時を思い出しつつも、若手エンジニアたちが 先輩であるスターエンジニアを乗り越えて、更に大きな仕事を成し遂げる過程の物語として、若い方々にも楽しんでいただきたいと思います。
清水 亮(ギリア株式会社代表取締役社長)
新潟県長岡市生まれ。プログラマーとして世界を放浪した末、2017年にソニーCSL、WiLと共にギリア株式会社を設立、「ヒトとAIの共生環境」の構築に情熱を捧げる。主な著書に『教育としてのプログラミ ング講座(中央公論新社)』『よくわかる人工知能(KADOKAWA)』『プログラミングバカ一代(晶文社)』など。
――いつだって時代を変えるのは名もなき人々の情熱だった! シリコンバレー、伝説の舞台裏! 本作を初めてサンフランシスコのRoxie Theaterで見たとき、体中を衝撃が走った。陰謀によって潰された会社とプロジェクト、潰えた夢。しかし彼らは諦めなかった。クライマックスで僕は思わず涙した。小さな劇場に歓声が溢れた。知らなかったのだ。まさか革命の当事者たちがこんな思いをしていたということを。華やかなスポットライトの影で努力した多くの人々の汗と涙。裏切りと復活。この映画は様々なことを教えてくれる。壮大な夢を描き、敢えて困難な仕事に挑む勇気を与えてくれる。あらゆるビジネスマンにお勧めしたい。
鈴木直也(当時、ソニーにてGeneral Magicの技術を使った製品MagicLinkを担当)
ブログ “Good Old Bits” 著者。
――この映画にでてくるほとんどの人達と一緒に、シリコンバレーでMagicLinkを開発していました。当時、BillとAndyは神のような存在でしたが、集まった若者たちも個性と才能にあふれる人達で、彼らと一緒に仕事できた数年間は人生でもっともエキサイティングな期間だったと思います。
今のiPhoneのようなものを、1990年台前半の技術で作ろうとしていたので、今から思えば明らかに早すぎたのですが、その後の関係者の活躍を見ると、ビジョンは間違っていなかったことがわかります。
この映画は、その雰囲気、高揚感と挫折、を追体験できる貴重な作品です。また、後にiPod、iPhone、Nestなどを開発したTony Fadellの青春物語として楽しむこともできます。失敗してもまた蘇るというシリコンバレーの精神は今の日本にも必要なものだと思います。
原野守弘(株式会社もり クリエイティブディレクター)
電通、ドリル、PARTYを経て、現職。「NTTドコモ: 森の木琴」「OK Go: I Won’t Let You Down」「Honda. Great Journey.」「Polaリクルートフォーラム」「日本は、義理チョコをやめよう。GODIVA」などを手がける。
※原野氏のコメントは当日の座談会にてうかがいます。
林 信行(テクノロジージャーナリスト/コンサルタント)
1990年から社会の風景を変えそうなテクノロジーの最新トレンドを取材し発信。General Magic社も取材しニュース記事などを通して紹介している。
――スティーブ・ジョブズと共にMacを生み出した伝説のチームメンバーを中心にIT業界のレジェンドが集結。とてつもなく大きな夢を見せ、とてつもなく大きな失敗をして散っていった。これはそんな会社の物語。’90年代には大きな夢を語り消えた会社は他にも多いが、General Magicは格別な存在だ。
今日、世界人口の半数以上が、思い立った瞬間に世界の情報が手に入る魔法のクリスタルをポケットに忍ばせているが、そのビジョンをいち早く描いたのも同社なら、そのクリスタルを世に広めたのも同社で育ち輩出された人材だ。間接的ではあったがGeneral Magicは世界を変えたのだ。
私もこれから何か凄いことが起きそうだという熱気が溢れていたタイミングで同社を訪れ、映画の出演者らにも直接会った。映画を観て当時の興奮が蘇ってきた。彼らが夢に没頭する姿や、諦めずに続ける姿勢は22世紀をつくる若者にも観てもらいたい。