株式会社WOWOWのプレスリリース
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2019年、玉置浩二は積極的なコンサート活動を行った。春には2015年に始動した交響楽団とのシンフォニックコンサートツアーを展開。夏から秋にかけては「LA VIE」と題した全国ツアーを敢行。全国各地で“生への賛歌”を歌った。
11月には安全地帯として初の甲子園球場コンサートを開催。約3万8千人の大観衆と音楽で共感し合う姿はとても感動的だった。そして、12月は全国クリスマスディナーショー。
彼は1年を通じて日本全国に愛に溢れた歌を届けた。
明けて2020年、人類を襲ったCOVID-19の猛威。世界中で音楽イベントが中止となる中、玉置もコンサート活動を断念せざるを得なくなった。その分も、彼は実に6年振りとなるニューアルバムのレコーディングに向き合った。
完成したアルバムのタイトルは『Chocolate cosmos』。「恋の思い出、恋の終わり」を意味する花言葉だ。彼はこれまで幅広いアーティストに提供してきた楽曲に新たなアレンジを施し、自ら歌に息吹を込めた。この作品は、彼のメロディメーカーとしての真髄、ヴォーカリストとしての凄みを満天下に示す1枚となった。
寒さが増し北風が吹く11月25日。ニューアルバム収録楽曲とこれまで発表してきた名曲を歌うオリジナル番組収録が行われた。場所は、東京・セルリアンタワー能楽堂。能・狂言など日本の伝統文化を発信する聖地だ。
誰一人観客のいない会場。暗闇に包まれた舞台。ピアノと弦楽器の優しい調和(cosmo)。渡り廊下のような橋掛かりには三本の松が描かれている。
和装姿の玉置浩二はその前をゆっくり歩き、檜で作られた舞台へと向かった。
冒頭に歌われたのは、1993年に発表した2枚目のソロアルバム『あこがれ』に収録された「終わらない夏」。失った恋の思い出に身を焦がす切ないバラードだ。伸びやかに、そして心を震わせながら。冒頭から圧巻の歌声を披露する。
2曲目は竹中直人に提供した「ママとカントリービール」。亡くした母への郷愁を描いた歌に、自らの想いも重ねて歌う。続く「僕は泣いてる」では、胸に抱き締めた想いが歌に乗せて明かされる。
歌い出しでスキャットを決めた「泣きたいよ」は、鈴木雅之に提供した楽曲。アルバム『安全地帯Ⅳ』収録曲「消えない夜」、KinKi Kidsに提供した「むくのはね」。そして、安全地帯名義で発表した「雨」。時代を超えて玉置が紡いだ芳醇なメロディーが、自身の歌声によって瑞々しさを増していく。舞台正面奥の鏡板には奈良県春日大社の影向の松の絵が描かれている。由緒ある松を背に歌う彼の姿には、威風堂々とした品格が漂っていた。
暫しの余韻の中場内が暗転、楽器の調律音だけが聞こえてくる。極みへ向かう前の儀式の様なあしらいだ。舞台に光が射し、更衣(ころもがえ)した玉置の姿が浮かび上がる。歌われたのは「愛を伝えて」。ここから安全地帯の至極の2曲が続く。「君がいないから」での熱唱という言葉では言い尽くせないほどの絶唱。畳みかける様に「夢の都」へ。息を呑むほどの見事な歌がそこにあった。最後に歌ったのは、韓国出身の歌手Ryuに提供した「Winter Leaf~君はもういない」。永遠に冷めることの無い余韻が胸に残った。
演奏予定楽曲全てが終わり、厳かな空気の中に感銘が光る。玉置は慈愛に満ちた微笑みを浮かべ、荒地と化した時代を生きる全ての者たちへエールを贈る。
その姿は日本古来の歌神が現代に降臨したかの様だった。
玉置の歌声が日本の伝統芸能の歴史と融和し昇華され、セルリアンタワー能楽堂から世界へ木魂した夜。WOWOWでは、来年1月3日夜8時よりWOWOWライブにて、この夜の模様を余すところなく放送する。番組を通じて、玉置浩二が愛を注いだ至高の歌を体感して欲しい。2021年を希望に満ちたものにするためにも-
写真/加藤 亮
【番組情報】
玉置浩二 Chocolate cosmos ~恋の思い出、切ない恋心
2021年1月3日(日)夜8:00~[WOWOWライブ]
収録日:2020年11月25日
収録場所:東京 セルリアンタワー能楽堂