内閣府 男女共同参画局のプレスリリース
イベントには助産師・YouTuberのシオリーヌさん、10代を代表してインフルエンサーの植村 颯太さんも登壇し、様々な立場からディスカッションを行いながら性暴力被害予防に関する理解を深めました。
「もうひとつの卒業式」
本イベントでは、女優・モデルの河北 麻友子さんをゲストとして迎え、高校生30人がオンライン上で参加するなか、新たな門出を迎える学生たちに祝福のメッセージを述べられるとともに、性暴力被害に遭わないために自らができることや性暴力被害の実態について意見を交わし、皆で理解を深めました。あわせて、助産師・YouTuberのシオリーヌさん、10代の代表としてインフルエンサーの植村 颯太さんにもご登壇いただき、シオリーヌさんからは性暴力被害の現状や、なにが性暴力になるのか、もし性暴力被害に遭ってしまった場合にどうすればよいかなど、知ってほしい知識や心構えについてレクチャーいただくとともに、河北さん、植村さん、高校3年生の皆さんと意見や質問を交えてディスカッションしました。
まず新生活と性暴力被害の関係性についてシオリーヌさんから、「新しい環境に出ていくことで沢山の人と出会い、新たなコミュニティのなかで今まで経験しなかったような性暴力に遭う機会が増えるかもしれません。またどういったことが性暴力にあたるのかを知らなかったりします。例えばサークルの飲み会の席でお酒の力を借りて性的な行為を強要されてしまうようなことがあったり、通学・通勤中に痴漢に遭うなどで、それが性暴力でおかしいことだと気がついて誰かに助けを求めたり、被害に遭っても相談できなかった、という声を多く聞きます。」と述べられ、新たな環境下における性暴力被害の実態について解説しました。
この実態を知り、年齢や性別にかかわらず性暴力を許さないという考えを広げることが大切だということに深く頷く河北さんと植村さんに対し、シオリーヌさんは、「性暴力被害に遭った時、まずはどういったことが性暴力となるのか認識しておくことが大切です。どういった関係性でも場所でも、自分の同意なく性的行為を強要されることは性暴力だと認識しておきましょう。被害に遭った時には、一連の支援をしてくれる『性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター』 (以下、ワンストップ支援センター) (共通ダイヤル“はやくワンストップ” #8891)に相談するようにしてほしいです。また社会全体で性暴力を許さない雰囲気を作っていくことがとても大事ですし、被害を相談してくれた人の気持ちを受け止め支える姿勢を持っていただけたら嬉しいです。」
シオリーヌさん
これを受けて河北さんは、「相談する勇気といいますか、自分が被害に遭ってしまったときに、恥ずかしい、隠したいと思ってしまいそうなので、そういった支援をしてくれるワンストップ支援センターがあると相談しやすいと思いました。身近な人にこそ相談しにくかったりしますし。」また、女性は13人に1人が、男性は67人に1人が性暴力の被害に遭うというデータが紹介され、男性への被害も多い現状に対して植村さんは、「自分が被害に遭った立場だったら、恥ずかしくて周りの人に絶対に言えない、ワンストップ支援センターがあると知って、気軽に相談できるのはいいことだと思いました。」とお話されました。
なお被害者でなくてもワンストップ支援センターに相談できることから、シオリーヌさんは「性暴力被害に遭った時に、被害者は絶対に悪くないということを皆さんにぜひ覚えていてほしいと思います。また友人などから被害の相談を受けた際には、被害に遭ったことを責めるのではなく相談してくれたことを労い、ワンストップ支援センターに一緒に連絡してみることがとても大きなサポートになります。」と身近に被害者がいた場合の適切な対応について、アドバイスを述べられました。
河北 麻友子さん
オンライン参加の高校3年生とのディスカッションでは、様々な質問や感想、意見交換が行われました。「ワンストップ支援センターに連絡した際に、具体的にどのような相談をすればよいでしょうか」との質問に対して、シオリーヌさんは「どういった被害を受けられたかをお聞きしますので、アフターピル(緊急避妊薬)の内服の必要があるか、また医療機関を紹介した方がいいかなど、必要なケアを明らかにして医療機関や警察などを紹介し仲介していきます。」と相談してからの流れを解説。
「ミニスカートを履いたり露出の高い服を着てたりという理由で痴漢に遭った時に、被害者に100%非がないと言えるのでしょうか。」との質問に対し、シオリーヌさんは「性暴力が起きた時に被害者は100%悪くありません」と断言し、「実際に性被害に遭われた方々は、パンツスタイルなど露出度が少ない服装でも被害に遭われています。私たちは自分の好きなおしゃれを楽しむ権利がありますし、自分の身体を自分で守る権利があります。性被害が起きた時の洋服は関係ありません。」と説明。河北さんは、「心強いです。痴漢被害に遭った時でも自分でやめてくださいと声を上げたり、誰かに相談したり行動に移せるようになるんじゃないかと思います。」と意見を述べられました。
オンライン参加の高校生とディスカッション
「SNSでの被害や怖い思い」について、植村さんは「SNSは気軽に直接連絡が取れてしまうので、怪しいなと感じたらブロックするなど注意してほしい。」と同年代の立場から対策について述べられました。シオリーヌさんは、「SNSに写真を投稿する際に、背景に自宅の近所や学校と分かるものが写っていることをきっかけにして付きまとい行為をされてしまうなど、悪用する人がいますので、インターネットに個人の写真を投稿する際には危険性がないかを考えてみてほしい。」とアドバイスしました。
「男性が被害に遭ってしまった場合どうすればよいか」の質問には、シオリーヌさんは「友人間のネタっぽい雰囲気でそういう行為があっておかしいと思った時には、やめてと声を上げることや、またどういった被害があるかをよく知ったうえで自分が受けたことがおかしいと思った時には、ワンストップ支援センターは性別を限定していませんので、男性であっても遠慮せずに相談いただきたいと思います」とシオリーヌさん。一方で同年代の植村さんは「夜遊びをするときや満員電車などで気を付けるようにしていただきたいです。」とお話されました。
植村 颯太さん
イベントのラストでは、改めて登壇者3人からイベントの感想や、高校生や新生活を迎える皆さんに対してのメッセージが伝えられました。河北さんは「今日は私が知らないことをたくさん学ぶきっかけになったし、人に相談する勇気というのが大切なのかなと感じました。今回見てくださった皆さんも、友達とこういう話が普通にできるようになったらいいなと思ったので、今日学んだことを色々な人にお話してきっかけづくりをしてもらえたらと思います。」とお話されました。
植村さんは「今まで性暴力被害について知識がなかったのですが、今日はたくさん知ることができました。今後、もしそういう被害にあってしまったら、すぐに周りの家族や友人、ワンストップ支援センターなどに相談してもらいたいと思いました。また性暴力は絶対に許せないことなので、すぐにでも無くなってほしいと思いました。」とお話されました。
最後にシオリーヌさんからは「今日みなさんに覚えておいてほしいことが2つあります。まずは今、性暴力というのが当たり前に身近にある社会というのを皆で変えていくことが大切なので、そのためには“性暴力はいけないことだ”、“性暴力は許さないぞ”という目を持って生活していくことで、性暴力などが起きにくい社会をつくっていけたらと思います。もう一つは、今日何度も繰り返しお伝えしていますが、性暴力が起きた時に、被害者の方は悪くないということを皆さんに覚えておいてほしいです。そしてもし自分が被害に遭った時は遠慮なくまわりに相談して助けを求めてほしいし、身近な人からそういったことを相談された場合は、被害を受けた人を責めるのではなく、一緒に支援先を訪ねたりなどのサポートができる社会にしていけるといいなと思います」とお話があり、これでイベントは終了となりました。
河北 麻友子さんと高校生たち
<被害者に向けた相談窓口支援に関して>
性暴力被害に遭ってしまった場合、どんな理由であれ被害者に責任はありません。
内閣府・警察では被害者支援の相談窓口として、下記番号を設定しています。
■性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター #8891(はやくワンストップ)(内閣府)
電話相談や面談、同行支援(病院、警察、弁護士など)を行います。
■性犯罪被害相談電話 #8103(ハートさん)(警察)
性犯罪・性暴力被害等の相談に応じる警察の窓口です。
<イベント概要>
【日時】 2021年3月23日(火)13:00~13:40 頃
【会場】 JOL原宿 東京都渋谷区神宮前1-8-2 ソラド竹下通り2F
【登壇者】女優・モデル 河北 麻友子さん
助産師・YouTuber シオリーヌさん
インフルエンサー 植村 颯太さん
【内容】 ・登壇者から3月に卒業をした高校3年生へ、お祝いのコメント
・新生活で楽しみにしていることなどについてトーク
・性暴力被害、予防についてのレクチャー
・高校3年生(イベント閲覧者)からのQ&Aコーナー
【公式サイト】 https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/jakunengekkan/
新生活を迎える4月を若年層の性暴力被害予防月間と定め、性暴力被害とその予防について理解を深め、また相談先窓口の周知を行うなど様々な啓発・促進運動を展開しています。