株式会社WOWOWプラスのプレスリリース
8/25(木)に東京 日本武道館にて開催された「ヤバイTシャツ屋さん “ぶどうかん” TOUR 2022 FINAL -日本武道館-」の模様を「WOWOWプラス 映画・ドラマ・スポーツ・音楽」にて10/30(日)22:00~テレビ初独占放送。これに先駆けて、ライブレポートが到着いたしました。
撮影:田中聖太郎
8月25日、ヤバイTシャツ屋さんが自身初の日本武道館ワンマンを行なった。本公演は、北海道・はこだてわいん葡萄館 本店前駐車場、愛知・葡萄観光農園 小林農園という2つの“ぶどうかん”を経てのツアーファイナルという位置付け。ツアーコンセプト同様、マスコットキャラクター“タンクトップくん”が登場して「声出しNG」などコロナ禍における鑑賞ルールを伝える演出もユーモア満載。チケットはソールドアウト。開演前から終演の瞬間まで、客席を埋め尽くす顧客(彼らのファンの呼称)を楽しませ、驚かせようとするエンターテインメント精神に溢れていた。
撮影:田中聖太郎
いよいよ開演…かと思いきや、Buyer Clientという3人組覆面ユニットのインタビュー映像を上映。彼らの持ち歌「dabscription」をムーディーに披露…かと思いきや、パンキッシュなサウンドに急変。覆面を外すと、こやまたくや(Gt/Vo)、しばたありぼぼ(Ba/Vo)、もりもりもと(Dr/Cho)の顔が露わに。その正体はヤバTだった、というオープニングで意表を突いた。「うるさくて速い音楽をやりにきました、ヤバイTシャツ屋さん、始まるよ!」とこやまが宣言したのを合図に、「Tank-top of the world」から「あつまれ!パーティーピーポー」までノンストップで、怒涛の高速ナンバーを連打。こやま、しばたが歌い繋ぐツインヴォーカルはスリリングで、もりもりもとのドラミングは生き生きとしてグルーヴィー。顧客は力のこもった手拍子を鳴らし、ジャンプ、ヘッドバンギングで轟音に身を委ねていく。
撮影:田中聖太郎
「海行きたい!」というしばたのリクエストに応じ、2階最後列からアリーナ最前列へ、海底でワカメが揺らめくようなウェーヴから始まった「まじで2分で作った曲」。タオル回しがNGのため“扇風機回し”(手首を回転させる動き)で盛り上がった「L・O・V・Eタオル」など、コロナ禍でのルールをしっかりと守りながら盛り上がり、一体感が上昇。「くそ現代っ子ごみかす20代」「DANCE ON TANSU」とタイトルだけ見ればコミカルな曲名たちだが、鳴った瞬時に時空を歪ませるような重くダークなサウンドは圧巻。轟音と高速BPMを騒音にすることなく、完璧にコントロールしているサウンドクオリティーも圧倒的だった。
撮影:田中聖太郎
この日ならではの特別演出として、メンバー3人それぞれの家族が登場する驚きの場面も。「大人の事情」には、もりもりもとの父と姉がコーラス参加し、もりもりもと本人はトランペットを演奏。「どすえ ~おこしやす京都~」には、しばたの父が津軽三味線、母が琴の演奏でコラボレーション。「ピアノ、お母さん!」(こやま)との呼び込みで、「眠いオブザイヤー受賞」にはこやまの母が、追って父がコーラスとして合流。温かなムードに包まれた3曲を「究極の身内ノリはここまで(笑)」(こやま)と締め括ると、次曲「Tank-top in your heart」では、その余韻を全て消し去るような狂暴なパフォーマンスを投下。観る者の感情を両極端に激しく強く揺さぶった。かと思えば、ブザーが鳴り響くと寸劇タイムがスタート。タンクトップくんと少年“まさひろくん”が登場し、「タンクトップくんのキャラソン」を披露。手の込んだ演出の数々で驚かせ、一時も飽きさせることなくその世界へと惹き込んでいった。
撮影:田中聖太郎
肩幅の広さと発言の説得力、収入との相関関係を一見コミカルに綴りつつエモーショナルに歌い上げる「肩 have a good day -2018 ver.-」では、心の広さを大切に生きていくと誓うラスト、こやまの熱唱に鳥肌が立った。壮大なバラードに聴き入っていると、次の「げんきもりもり!モーリーファンタジー」ではスモークが噴出。なんとドラムセットが見る見るうちに上昇していき、スクリーンには満面の笑みでプレイするもりもりもとの姿が大写しに。「その場で暴れろ!全員ちらばれ!」とこやまが煽り、しばたのハイトーンヴォーカルが響き渡った「ちらばれ!サマーピーポー」では、ハート型の紙片が舞い散り美しい光景を立ち上げた。惜しみなく曲を披露し、この夏の記憶として顧客の脳裏に刻まれるであろうインパクトの強い場面を次々と見せてくれるのだった。
撮影:田中聖太郎
狂騒的な明るさの中、深い影を感じさせたのが終盤のMC。こやまは「周りに悩んでいる人が増えてきた」とシリアスな口調で語り、亡くなった友人に対し「今から飲みに行こうか?とか(誘えば良かったと)後悔とかもする…」などと吐露。家族を喪った個人的な体験も沈痛な面持ちで述べながら、「皆いなくならんとってほしい、と思うんですよね」と語り掛け、「寿命で死ぬまで」を切実な歌声で絶唱。<最期まで幸せにな 生きておくれ>と渾身のシャウトを轟かせると、観客は鳴り止まない拍手を送った。
撮影:田中聖太郎
ピッシリと揃った拍手に乗せて披露した「ヤバみ」、こやまが「かわE~」と客席を笑顔で指さしてスタートした「かわE」と連打、ラストを「NO MONEY DANCE」で締め括った本編は28曲というボリューム感。アンコールでも手を緩めず「無線LANばり便利」を放ち、ジャンプやヒップホップ調の手の振りで更なる一体感を醸し出す。「案外わるないNHK」直前のMCでは、『NHK紅白歌合戦』出場というデビュー前からの目標を再確認。「まだ諦めてない」とこやまは胸中を明かし、演奏後「絶対にヤバTは『紅白歌合戦』に出ます!」と宣誓。
撮影:田中聖太郎
「ハッピーウェディング前ソング」を放ちハッピーなムードで会場を満たし、「もう31曲やっていて、限界が来ているんですが…限界を超えてみませんか?」(こやま)との呼び掛けで追加の1曲、インディーズ時代からのナンバー「喜志駅周辺なんもない(コール&レスポンスなしver.)」を披露。コール&レスポンスのパートは無音となり、武道館に一瞬、完全なる静寂が生まれた。制約が生んだシュールな含み笑いすらファンと共有し、ルールを守った上でのライブをつくっていく――そのようなバンド側の強い覚悟を感じる、象徴的な場面だった。
撮影:田中聖太郎
最後に、撮影OKの時間を設けて顧客を喜ばせると、メンバーから一言ずつ挨拶。もりもりもとは「国民的なバンドになりたいという想いから、『紅白歌合戦』を目標にしてきた部分があるんですけど、なかなか近付けない……大変な想いもしてきましたが。今日ここ日本武道館でライブができてグッと近付けたような気がしています」と語り、応援してくれた顧客に感謝。しばたも、「ルールを守って楽しんでくれる皆が本当にカッコいいなと思いました」とマナーを絶賛。加えて、「ライブハウスに育てられた人間、バンドです」と、自分たちの出発点であるライブハウスへの感謝を吐露。「こんな(武道館のような大掛かりな)演出はできひんけど、皆で、ライブハウスで一緒に楽しめたらいいなって。これからはライブハウスをいっぱい守っていきます!」と熱く語った。こやまは、ライブハウスへのこだわりから、武道館公演を目標に敢えて掲げてこなかったバンドのスタンスを振り返りつつ、こうして武道館のステージに立ったことを「ヤバTとしても成長した」と表現、背中を押してくれた顧客に感謝を述べた。「“自分の音楽に対するポリシーをしっかり持っている人”で満員の日本武道館、最高!ありがとう!」(こやま)と叫ぶと、会場は大きな拍手で包まれた。
撮影:田中聖太郎
2023年に迎える結成10年に向け、準備を進めていると最後に明かした彼ら。自ら禁じていたというテレビ番組での歌唱について、「今年『紅白』に出られなかったら、来年解禁しようかなと思って(笑)」(こやま)とも。「ポリシーを持ってやっていきますので、安心して付いて来てください」と顧客に誠実に語り掛け、今後の活動に期待させた。全32曲を披露した3時間が、体感としてはあっという間。
WOWOWプラスでは、本公演の模様を10月30日(日)22:00~テレビ初独占放送する。ヤバイTシャツ屋さんというロックバンドの魅力と本質を余すところなく詰め込んだ、濃密なライブを是非ご覧いただきたい。
文=大前多恵
■放送情報
ヤバイTシャツ屋さん “ぶどうかん” TOUR 2022 FINAL -日本武道館-
https://www.wowowplus.jp/program/episode.php?prg_cd=CIIDM22058
2022年10月30日(日)22:00~
収録日:2022年8月25日/収録場所:東京 日本武道館
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