東宝東和株式会社のプレスリリース
世界最高の名門歌劇場「英国ロイヤル・オペラ・ハウス」で上演されたバレエ・オペラの公演と特別映像をスクリーンで体験できる人気シリーズの最新作『英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン2022/23』より、オープニングとなる1作目は日本を描いたオペラの傑作、プッチーニ作曲『蝶々夫人』が12月9日(金)~12月15日(木)まで全国公開。
明治時代の長崎を舞台に、アメリカ海軍士官ピンカートンの現地妻となった蝶々さんが、夫に捨てられ日本の社会から孤立し、ついには愛する息子まで奪われ…という悲劇を、イタリア・オペラならではの旋律美で余す所なく描き出した『蝶々夫人』。今回の上演は、近年の芸術分野に求められるアジア文化への尊重という課題を反映して、劇場側が、舞台のムーヴメントを指導する上村苑子氏、衣裳デザイナー半田悦子氏、ロンドン大学日本近現代史 博士鈴木里奈氏、演出家の家田 淳氏をコンサルタントとして招集、1年かけてアップデートし作り上げた改訂版。演出と舞台美術は基本的に同一ですが、時代的にも間違った描写である白塗りにチョンマゲや、長く引きずった着物などを排除し、人々の所作も日本人から見て自然で美しいものに仕上がっている。
このプロジェクトに参加した家田氏は、「劇場側の真摯な姿勢は、差別されてきた側の日本人の方が頭が下がる」とコメント、現場での様子は、“20世紀初頭の西洋優位の価値観で書かれたこのオペラを、レパートリーに残しておくべきなのか?”というそもそも論に始まり、“バタフライ(蝶々さん)の家の使用人たちの姿勢や態度が卑屈すぎる。日本人を格下に置くような演技を修正すべき”“衣裳、メイクはできるだけリアルにしたい”といった提案が次々となされたと当時を振り返る。
このようなプロセスを経てお披露目となったのが、このシネマシーズンで上映される「蝶々夫人」。「こういった問題認識がなされ、劇場をあげて解決に取り組もうという姿勢、オペラ・ハウスもまた現代社会を担う一端であり、発信する作品は社会に対して責任があるという信条は学ぶべきことが多く、心から敬意を表したいと思う。」とコメントしている。
本編では、ムーヴメントの専門家の上村苑子氏が現地で稽古に参加し、歌手に和の所作を指導した様子や、幕間では、鈴木里奈博士が、当時の日本のバックグラウンドなどを解説する特別映像がおさめられている。
家田 淳(演出家・翻訳家・洗足学園音楽大学ミュージカルコース准教授)『蝶々夫人』解説全文はコチラ
http://tohotowa.co.jp/roh/news/2022/12/06/kaisetsu_madama_butterfly/
【STORY】
20世紀初頭の日本、アメリカ人の海軍士官ピンカートンは一時滞在していた長崎で、武家の出身だが父親を亡くし芸者をしていた蝶々さんと結婚する。ピンカートンにとっては短い滞在中の現地妻だったが、蝶々さんは真の結婚と信じ、キリスト教に改宗したことによって親戚一同に縁を切られてしまう。やがてピンカートンは長崎を去り、蝶々さんには息子が生まれる。蝶々さんはピンカートンを信じて待ち続けるが、3年経って再び長崎の地を踏んだ彼はアメリカ人の妻ケートを伴っていた・・・。
【音楽】ジャコモ・プッチーニ
【台本】ジュゼッペ・ジャコーザ、ルイージ・イッリカ
(原作:ジョン・ルーサー・ロングの小説『蝶々夫人』とデヴィッド・ベラスコの戯曲『蝶々夫人』)
【指揮】ニコラ・ルイゾッティ
【演出】モッシュ・ライザー、パトリス・コーリエ
【再演演出】デイジー・エヴァンス
【美術】クリスティアン・フェヌイヤ
【衣裳】:アゴスティーノ・カヴァルカ
ロイヤル・オペラ合唱団(合唱指揮:ウィリアム・スポールディング)
【出演】
B.F.ピンカートン:ジョシュア・ゲレーロ
ゴロー:カルロ・ボージ
スズキ:クリスティン・ライス
シャープレス:カルロス・アルヴァレス
蝶々さん:マリア・アグレスタ
神官:ダヴィッド・キンバーグ
書記官:リー・ヒッケンボトム
蝶々さんの母親:エリル・ロイル
ヤクシデ:アンドリュー・オコーナー
叔母:エイミー・キャット
ボンゾ:ジェレミー・ホワイト
ドローレ:レオ・ ストックランド=ベイカー
ヤマドリ公:ヨーゼフ・ジョンミン・アン
ケート・ピンカートン:ガブリエーデ・クプシーテ
(2022年9月27日上演作品/上映時間:3時間14分)
12月9日(金)より TOHOシネマズ 日本橋 ほか全国公開!
■公式サイト:http://tohotowa.co.jp/roh/
■配給:東宝東和