メニコン シアターAoi 主催事業ラインアップ発表 記者会見事務局のプレスリリース
12月7日(水)、HITOMIホール (愛知県名古屋市中区)にてメニコン シアターAoi オープニング(2023年度)主催事業ラインアップ発表記者会見を実施。山口茜、日澤雄介、古川健、岩井秀人、佃典彦、鹿目由紀、天野天街、浅井信好ほかが登壇
後列左から田中、浅井、岩井、古川、日澤、杉山/前列左から鹿目、佃、山口、天野
一般財団法人メニコン芸術文化記念財団は、音楽、演劇、舞踊その他の芸術及び芸能の振興並びに地域の芸術文化・教育の発展に寄与することを目的とし、2021年9月に設立されました。メニコン シアターAoiの開館にあたり、以下のゲストが登壇し、オープニング(2023年度)主催事業ラインアップ発表記者会見を行いました。また会見中には宮川彬良、小曽根真、筒井加寿子、山田俊彦、広瀬悦子、ライナー・ホーネックからのメッセージも紹介しました。
◆登壇者
メニコン芸術文化記念財団代表理事 田中英成
メニコン芸術文化記念財団事務局長 杉山章寿
メニコンシアターAoi 芸術監督 山口茜(演出家)
日澤雄介(演出家・俳優/劇団チョコレートケーキ)
古川健(劇作家/劇団チョコレートケーキ)
岩井秀人(作家・演出家・俳優/ハイバイ)
佃典彦(劇作家、演出家、俳優/劇団B級遊撃隊)
鹿目由紀(劇作家、演出家/劇団あおきりみかん)
天野天街(劇作家、演出家/少年王者舘)
浅井信好(舞踏家、演出家、振付家/月灯りの移動劇場)
*集合写真順:後列左から田中、浅井、岩井、古川、日澤、杉山/前列左から鹿目、佃、山口、天野
◆登壇者コメント抜粋
●メニコン芸術文化記念財団代表理事 田中英成
「今回このシアターAoiを設立するにあたって、芸術文化に寄与する目的で一般財団法人メニコン芸術文化記念財団を立ち上げました。そして、メニコン本社西側に建設中のビルの中に、メニコン シアターAoiが完成します。」
●メニコン芸術文化記念財団事務局長 杉山章寿より、劇場概要の説明
「現在工事中のメニコンビルの1階から6階がシアターとなります。プロセニアム劇場となっていて客席数は301席と比較的コンパクトでありながら多くのユニークで最先端の設備を持ち合わせています」
メニコン シアターAoiの特徴
- この規模では珍しいオーケストラピット
- 舞台中央にセリ機構
- 自由に張り出し舞台を作ることができる
- 舞台奥壁が昇降壁
- プログラムバトン機構
- 舞台照明:ピンスポット以外はすべてLED照明
- 音響効果:反響板のない幕舞台のため響きを自由にコントロールできる「音場支援システム」、YAMAHA最新のAFC Enhance アクティブフィールドコントロールエンハンスシステムを日本で初めて導入
- YAMAHAの最新モデルのコンサートグランドピアノCFXを導入
●メニコン シアターAoi 芸術監督 山口茜(演出家)より
山口茜
*芸術監督就任の挨拶:
「私は京都を拠点に、大学在学中から約25年間、小劇場というジャンルで、演劇を作り、上演し続けてまいりました。今回メニコン シアターAoiの芸術監督にお声がけいただきまして、本当に、運の良さだけはピカイチだなとおもっています。この劇場を、芸術に没頭することを思い出す場にしたいと思います。あらゆる人々が、さまざまな他者の表現に出会い、自らも表現することをてらいなく行える場を目指します。
この劇場を実際に運営していくにあたって、まずは地域に住まう人々、そして地元のアーティストとの連携を行いたい、と思いました。この土地があって、そこで生活する方があって、そこで表現をする方がいて、それを観る人がいる、そして観る人の中から、今度は自分もやってみようと思う人が出てくる、という連続性を帯びているのが、生き生きとした劇場を作る条件だと思いました。次に、遠くにいる、自分とは完全に異質な他者へ、思いや考えを届けられる力のあるアーティストを招きたいと考えました。芸術を通して体験した他者の思いや考えは、より深くその人の心身に浸透します。であれば、その力を持っていて、かつ、マイノリティや社会的弱者の存在を無視せず、自らの弱さを引き受ける覚悟のあるアーティストを招きたいと思いました。さらに、クリエイションに没頭しているアーティストであることも重要だと思いました。何かに没頭している人は、他者にポジティブな影響を与えるのではないかと考えたからです。さらに、劇場を立ち上げるうえでは裏側を支えるスタッフの思いを、具体的に劇場の運営に反映させていくことが必要だと考えました。劇場の色は、実はそこにいるスタッフで決まるように思います。スタッフとともに意見を交わしあって事業を決めていくことで、どのような色を打ち出していきたいかが明確になると思います。これらを考慮して、初年度のラインアップを考えました。メニコン シアターAoi が、 みなさんひとりひとりにとって、 大切な友人のような場所になれば幸いです」
*上演作品について:
「サファリ・Pの『透き間』は人を殺すということを宿命として定められた男の話です。いまだに続くロシアとウクライナの戦争もそうですが、世界では今も争いが絶えません。個人的にこれまで遠い国の話のように感じていたこの戦争というテーマは、カダレの砕かれた4月にある、人を殺すことを宿命づけられた人々の心情と共通するところがあると気がつきました。突き詰めれば我々の中にある人と争わざるをえない性質のようなものに行き着くと感じ、改めてそれ白昼に引き摺り出し、物語とパフォーマンスを介してみなさまに届けたいと思います。そうすることで自分たちは単なる無垢な存在ではなく、人を傷つける素質があることを自覚し、その上で、自分の思いを表現するときに、別の選択肢を選ぶことができるきっかけとなればと思っています。
トリコ・Aの『そして羽音、ひとつ』は、京都の劇作家、山岡徳貴子さんの新作です。山岡さんは2000年代にまだ20代という若さでその脚本家としての能力を認められ、地方在住でありながら一躍全国で名を知られるところとなりましたが、結婚、出産、を経て、演劇という場から遠のかれていました。子育てや介護が落ち着くのを待っていられず、今回は私から強引に台本を書いていただくような形で依頼した次第です。この作品は来週12月16日に関西でリーディング公演を行う予定ですが、一人の老女を芯に据えた複雑な、しかし私たちのすぐ近くにある、手触りのある人間関係がリアルに、そして詩的に描かれています。才能のある作家が、結婚、出産、介護という役割を経て、新たにどのような物語を紡ぐのか、是非ご期待ください」
●日澤雄介(演出家・俳優/劇団チョコレートケーキ)より
「新しい300人規模の劇場ということで、とてもワクワクしています。東京ですと300人規模の劇場はありますが、ホールは音楽がメインとなる中で、この空間規模での新劇場という試み、メニコンさんの野心を嬉しく思っています、それを初年度使わせていただけることを光栄に思っています。照明が全LEDというのを僕は聞いたことがないので、使い具合、この規模のせりやオケピ、色々と試しがいがある、どうその空間と仲良くしていこうかなというのが、演出として今思っているところです。楽しみにしています」
●古川健(劇作家/劇団チョコレートケーキ)より
「東京生まれ東京育ちですが子どもの頃から中日ドラゴンズファンで、名古屋に呼んでいただけて嬉しく思っています。新作でタイトルも決まっていない状態ですが、子どもの頃から特撮ヒーローものが好きで、とくに60年代、70年代の特撮番組は子ども向けと言いながら社会派のメッセージが込められたエピソードがありました。今回、それを見てドキッとした気持ちを作品化できないかと考えました。子ども向けの中で社会的メッセージを込めるという制作者の勇気をリスペクトし、また昨今、差別と他者への恐怖は形を変えていつまでも人間の心に残り続けるものだと痛感しておりまして、社会状況はなかなか好転しない中で、それでもなお正しいメッセージを発する人間の心意気を物語にしたいと思っています。まだ構想段階で、あらすじがなんとなく出来てきたあたりですが、これから必死に書いて、メッセージも大事ですけど、面白い演劇になるのが一番大事だと思いますので、おもしろい演劇を作り、名古屋のみなさんにお会いしたいと思います」
●佃典彦(劇作家、演出家、俳優/劇団B級遊撃隊)より
「僕は名古屋生まれで名古屋育ちですので、僕もドラゴンズファンです。”名古屋のミラーマン”と勝手に自称しており特撮も好きなので、古川さんとは話が合うかなと(笑)。あと、今メニコンのコンタクト入れてます(笑)。名古屋でお芝居をやっている者として、名古屋に新しい劇場ができるのは本当に嬉しいことで、この劇場がどんどん名古屋のひとたちに愛され続けることを祈ってやみません。東京の座・高円寺さんから上演作品は宮沢賢治のふたつの童話をお芝居にしてくれというお話をいただき、僕はそもそもそんなに宮沢賢治に思い入れはなかったし、名古屋には北村想さんという、宮沢賢治のお芝居の第一人者がいるので、僕は手を出すまいと思っていました、しかもを、ふたつの作品をひとつにするということで……、頑張って書きました。この作品は今でも杉並区の小学校を回っています。ラストの演出は初演ですごくおもしろかったので、そこも楽しみにしていただければと思います。」
●岩井秀人(作家・演出家・俳優/ハイバイ)より
「僕自身は自分が16歳から20歳まで引きこもっていて、それをもとに台本を書いて自分が出たりして演劇を始めました。自分の身の回りの事実をもとに演劇をつくってきて、それが僕自身の問題から家族の話になって。父親を題材にし、その父親を僕自身が演じて僕自身の演劇は一回終わりました。そこから、「僕にできるから他のひとにもできるんじゃないかと思い、「ちょっと人生の話を聞かせてください」と、本人に台本を書いてもらい本人に出てもらうという演劇をかれこれ10年ちょっとくらいやってきました。参加したひとたちの身に起きたことを聞いてその場で演劇にしていくと、放っておいても地域の特色がものすごく出ます。また名古屋では違うモチーフが出てくると思います。なにをやるかは全く決まっていません。とにかくそこに住んでいる人に来てもらっていろんな話を聞いていくうちに出来上がっていくものなので、地域の特色が出てきて、そこから自然に老いや差別的な問題だったりというものが現れてきます。そういったものを深刻にならずに楽しく演劇を作っていく過程というのがめちゃくちゃ面白いので、その過程ごと見せられたらと思っています」
●鹿目由紀(劇作家、演出家/劇団あおきりみかん)より
「今回いろいろとご相談させていただき、ぜひとも劇作家をもっと育てていきたいとか、また、その企画自体がいらっしゃったお客様みなさまからご意見をいただきながらひとつの戯曲をどうやったら面白くなるかを高めていく、お客様もまた戯曲の読み解き方などを一緒に考えながらすすめていくというすごくいい企画をこのシアターAoiさんでやらせていただくことになりました。今回は、これまでの既存の戯曲をみなさんでリーディングをまずしていただき、そのあと、どういうところが良い戯曲なのか、どういうところが面白くなっているのか、お客さんも参加者も含めて話し合って戯曲の勉強をしていくものになります。そういうことができる場をいただいて非常にありがたいと思っています。なかなか、公演の機会はあっても、ひとつのものを話し合いながらやっていくのはなかなかできないことで、これがひとつの機会になればいいなと思います。今回、人材育成という形で関わらせていただくのは大変光栄です」
●天野天街(劇作家、演出家/少年王者舘)より
「澁澤龍彦が史実を無茶苦茶なことにしてしまった作品ですが、この作品を書き終えて喉頭癌ですぐ亡くなり、本作の主人公の親王も喉を詰まらせるという切実さもあるすばらしい作品です。それを人形劇として、人形でしかできないことをともかくやろうと心がけました。とにかくやりたい放題ですね。もうできてるので胸を張って言うんですけど、これは面白い!自分で言うのもなんだけど。見ていないなら見るように!びっくりします。人間にできて人形にできないことは皮膚呼吸くらいで、人形はなんでもできます。もともと原作にあるようなアナクロニズムというか、時間錯誤、時空感がとっちらかってしまうものが得意ですので、思う存分つくっております!ご覧ください」
●浅井信好(舞踏家、演出家、振付家/月灯りの移動劇場)より
「パンデミックの状況の中で文化と社会というものにコミットしていくことが今後はたして可能なのかということを考え続けていました。今アフターコロナで考えると、それ以上にデジタルトランスフォーメーションして、どんどん、ITやAI技術の加速により身体が不在になる、失われていくことを強く感じています。私自身ダンサーというより舞踏家として長年活動してきていますので、自分の肉体論を強く意識しています。そう言う中で、脱・身体化、ポスト身体化していくこの世の中に対して、もう一度ダンスという技術・様式をつかって、「身体は必要である」ということを社会に提示できる作品を作りたいということで、昨年から文化人類学的な、日本の土着的な農耕儀礼であったり、神楽を全国各地でリサーチしながら創作を試みています。3部作あるうちの第2弾として、当劇場で愛知県・奥三河の「花祭」を題材に新作を予定しています。この作品は今後愛知で世界初演したのち、海外、日本全国で再演予定です」
ーーーコメント以上ーーー
【ラインアップ一覧(2023.4/2024.3)】
(C)Tsukasa Aoki
●<プレイベント>
平田オリザ 講演会『新しい広場を作る―地域における劇場の役割―』
2023年4月18日(火)14:00開演
サファリP 第8回公演『透き間』(イスマイル・カダレ『砕かれた四月』より)(2022・東京公演)撮影:三浦雨林
●<トライアルイベント> <芸術監督作品>
サファリ・P 『透き間』
2023年5月14日(日)14:00開演
【上演台本・演出】山口茜
【作曲】増田真結
【出演】芦谷康介、F.ジャパン、佐々木ヤス子、達矢、山田蟲男ほか
●<こけら落とし公演>
歌劇『あしたの瞳
2023年7月19日(水)~22日(土)(予定)
【作曲】宮川彬良
【作・台本・作詞】響敏也
【演出】岩田達宗
【出演】大田翔(SiriuS)、田中俊太郎(SiriuS)ほか
『ガマ』 写真 池村隆司
●劇団チョコレートケーキ『新作・タイトル未定』
2023年7月29日(土)13:00開演、18:00開演|30日(日)13:00開演
【脚本】古川健
【演出】日澤雄介
舞台写真 梁丞佑
●座・高円寺レパートリー『ピンポン』
2023年8月5日(土)、6日(日)
【構成・演出】佐藤信
【美術・演出】tupera tupera
【振付・演出】竹屋啓子
【出演】公門美佳(ダンサー 千種区出身)、久保恒雄(俳優・黒テント所属)、光田圭亮(俳優・黒テント所属 岡崎市出身) 、磯田収(楽器演奏 モダンチョキチョキズ)
【企画制作】NPO法人劇場創造ネットワーク/座・高円寺
©️Kazuyoshi Shimomura
©️Youri Lenquette
●小曽根 真(ピアノ)&アヴィシャイ・コーエン(ベース)『世界が待ち望んだアコースティック・デュオ』
2023年10月5日(木)18:45開演
【出演】小曽根 真(ピアノ)、アヴィシャイ・コーエン(ベース)
『ワレワレのモロモロ ジュヌビリエ編』(C)KOS-CREA 写真提供国際交流基金
●岩井秀人『ワレワレのモロモロ 名古屋編』
2023年10月21日(土)13:00開演 17:00開演|22日(日)13:00開演
【構成・演出・脚色】岩井秀人
トリコ・A 演劇公演2022『へそで、嗅ぐ』撮影:森勇馬
●<芸術監督作品>
トリコ・A『そして羽音、ひとつ』
2023年11月10日(金)18:30開演|11日(土)14:00開演|12日(日)14:00 開演
【作】山岡徳貴子
【演出】山口茜
【出演】佐々木ヤス子、武田暁、藤原大介、山本麻貴 ほか
舞台写真:梁丞佑
●座・高円寺レパートリー 『フランドン農学校の豚 ~注文の多いオマケ付き~』
2023年11月18日(土)、19日(日)
【原作】宮沢賢治
【上演台本】佃典彦
【演出】西沢栄治
酒谷薫[SARUGRAPH]
●ルドルフ 『その犀はひとり行く』
2023年12月1日(金)18:30開演|2日(土)14:00開演|3日(日)14:00開演
【原案】『平家物語』
【脚本・演出】筒井加寿子
●ナビイチリーディング×シアターAoi
2023年12月9日(土)
【企画】鹿目由紀
(C)サカイユウゴ
●ITOプロジェクト 『高丘親王航海記』
2023年12月22日(金)18:45開演|23日(土)13:00開演 18:00開演|24日(日)13:00開演
【原作】澁澤龍彦【脚本・演出】天野天街【ナレーション】知久寿焼
【キャスト】山田俊彦(人形劇団ココン)、阪東亜矢子(JIJO)、植田八月(人形劇団おまけのおまけ)、竹之下和美(人形劇団おまけのおまけ)、永塚亜紀(人形劇団あっぷう)、菅原義輝(山猫圏)、後藤渉(獅子を舞う男)、岩本苑子(少年王者舘)、佐次えりな(Utervision Company Japan)
©Michel Restany
●広瀬悦子 ピアノリサイタル『ピアノで奏でるシンフォニー ベートーヴェン交響曲第9番を弾く』
2023年12月27日(水)18:45開演
【出演】広瀬悦子(ピアノ)
Peeping Garden /re:creatio (C)大洞博靖
●月灯りの移動劇場 『新作・タイトル未定』<世界初演>
2024年1月27日(土)15:00開演|28日(日)15:00開演
【演出・振付】浅井信好
【出演】浅井信好、杉浦ゆら、副島日毬、鈴木大翔
●マームとジプシー 『新作・タイトル未定』
2024年3月
【演出・脚本】藤田貴大
撮影:ヒダキトモコ 提供:紀尾井ホール室内管弦楽団
(C)Yuji Hori
●ライナー・ホーネック(ヴァイオリン) & 菊池洋子(ピアノ)デュオリサイタル『ストラディヴァリウスで聴くウィーン音楽の世界』
2024年3月13日(水)18:45開演
【出演】ライナー・ホーネック(ヴァイオリン)、菊池洋子(ピアノ)
ーーーラインアップ以上ーーー
●メニコン シアターAoiについて
愛知県名古屋市中区葵三丁目21番9号 Menicon Theater Aoi Bldg. 内
▼公式ウェブサイト
https://meniconart.or.jp/aoi/
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