公益財団法人国際文化会館のプレスリリース
パンデミック以来、3年ぶりに日米芸術家交換プログラム(主催:日米友好基金[JUSFC]、協力:国際文化会館、全米芸術基金[NEA])のフェローが来日しました。3月から12月にかけて日本各地でリサーチや制作を行い、その活動を紹介するアーティスト・フォーラムを国際文化会館にて開催します。
公益財団法人国際文化会館(東京都港区、理事長:近藤正晃ジェームス、以下、国際文化会館)では、日米芸術家交換プログラムのフェロー来日に伴い、コロナ禍以来3年ぶりにフェローの受け入れを再開いたしました。
1978年に始まり、これまでにビル・ビオラやパトリック・ドハティー、シャシャ・ヒグビー、ビル・フォンタナ、ゲイリー・ヒル、アイオナ・ロゼ―ル・ブラウン、ウィリアム・ローパー、ローラ・シムズ、モニク・トゥルンなど、様々なジャンルの米国人アーティストを招へいしてきた日米芸術家交換プログラム(主催:日米友好基金[JUSFC]、協力:国際文化会館、全米芸術基金[NEA])。フェローは、2023年3月から12月のあいだ、それぞれ3~5カ月日本に滞在しながら研究・芸術活動を行います。
国際文化会館では、IHJアーティスト・フォーラム(共催:JUSFC、国際文化会館)においてフェローのライブパフォーマンスやアーティスト・トークを順次開催します。今年度来日する4名のフェローのプロフィールと活動計画は以下のとおりです。個別取材をご希望の場合は、担当までご連絡ください。
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ロバート・ハッチソン Robert Hutchison(建築家)
被災地のコミュニティ再建とインフラを調査
2023年3月17日〜7月15日滞在予定
アーティスト・フォーラム:2023年7月14日開催
建築とインスターレションの分野における専門家、研究者、教育者として活動する。1996年ワシントン大学にて建築学修士号、1990年にドレクセル大学にて工学学士号を取得。米国シアトルを拠点とするロバート・ハッチソン・アーキテクチャーの代表であり、ワシントン大学の建築学部にて客員准教授を務める。2016-17年アメリカン・アカデミーより建築部門ローマ賞受賞、2010年日米芸術家交換プログラムフェロー選出、2009年アーキテクチャル・リーグ・オブ・ニューヨークよりイマージング・ヴォイス賞受賞。
2021年のフェローシップでは東日本大震災において被害を受けた東北・関東沿岸部を訪問し、再建されたコミュニティと、津波対策におけるインフラの関係性についてリサーチする。写真、スケッチ、住民への取材といった手法で記録し、後にそれを自身の構想プロジェクト「メモリー・ランドスケープ」に活かす予定。津波、水位上昇被害のリスクを抱える日本や米国沿岸部のコミュニティとインフラの関係性を探り、建築的ナラティヴや、あるいはそれに準ずるパラ・フィクション的計画を立案する。
展覧会:Memory Houseより
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マーク・ド・クライヴ=ロウ Mark de Clive-Lowe(作曲家/音楽家)
亡き父の戦後日本の旅路を辿るジャズ・ピアニスト×DJプロデユーサー
2023年4月10日~8月9日滞在予定
アーティスト・フォーラム:2023年8月8日開催
作曲家、ジャズミュージシャン、ピアニスト、リミキサー、プロデューサーとして20年以上の経験を持ち、ジャンルや活動の場を広げつつ国際的に活躍している。両親はニュージーランドと日本の出身で、2008年から米国LAを拠点に多くのソロアルバムを出し、ケニー・ドープ、ジョディ・ワトリー、DJ スピナ、シーラ・E、カマシ・ワシントン、エリック・ハートランド、ハーヴィ・マンソンといった世界の名だたる音楽家、アーティスト、DJとコラボレーションしてきた。チコ・ハミルトンやシャーリー・ホーンの作品、及びブルーノートのレコードカタログから様々なリミックスを制作。2019年に発売したアルバム『HERITAGE』ではジャズとエレクトロニカの視点で、自身の日本人としてのルーツを掘り下げた。米国・リッチモンドのLa Ceiba Festivalの筆頭レジデンス・アーティストであり、キュレーター、教育者、スピーカーとしても活躍する。「音楽の港を巡るように軽やかに活躍する、アヴァンギャルドな魂のピアニスト、DJ、プロデューサー。表面的な分野横断ではなく、感情と精神丸ごと旅をしている」ハフィントン・ポスト評
亡き父は1953年~73年の20年滞日し、広島、京都、そして鎌倉に住みながら東京で働いていた。2011年に亡くなる前、日本での日々を綴った回顧録をマークに渡す。フェローシップではこの回顧録を頼りに父が戦後日本で過ごした場所を訪れ、自分が彼の子供であること、日本人のハーフであることを踏まえた上で、父と自分の経験を重ねる旅をする。そして新作「In My Father’s Footsteps」を作曲し、日本の音楽家たちとのコラボレーションも行う予定である。
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ダコタ・ギアハート Dakota Gearheart(ビデオアーティスト)
エコフェミニストがアニメーション動画で探る、日本にみられるユニークな生態学
2023年7月19日~12月19日来日予定
アーティスト・フォーラム:日程未定
トランスメディア・アーティストとして、現代の科学技術がもたらす影響に注視し、エコフェミニストの世界観に基づき、現代の権力構造を劇的に脱構築するべく活動している。現在携わるアニメーション・ビデオ・プロジェクト『Life Touching Life』では、科学者、研究者、管理者を招き、意識と生物多様性との関係を観察し共有する。このシリーズでは、ギアハートは半分女性で半分藻のようなピクセルバクテリアという架空の種として登場する。過剰な色彩、ユーモア、サウンド、そして遊び心に満ちた空間は、彼女のコラージュベースの美学に共通する特徴である。作品は、ブロンクス美術館(ニューヨーク)、タコマ美術館(ワシントン)、セントピーターズバーグ美術館(フロリダ)、ディスジェクタ現代アートセンター(オレゴン)、ホースホスピタル(ロンドン)、ホース&ポニーギャラリー(ベルリン)、ラボ・アトワール(テッサロニキ、ギリシャ)、太原大学(太原、中国)で展示されてきた。またBRICデジタルメディアフェローシップ、フランクリン・ファーネス・フェローシップを受賞した。ニューヨークを拠点に、ニュースクールとニューヨーク大学で非常勤講師を務めている。
フェローシップにおいては『Life Touching Life』に取り組み、リサーチをしながら日本の文化と生態学が交わる領域についての新作を製作する。特に、テングザメの孤独な生態や、ニホンザルの性的指向、オーガニックのカタツムリ・エステなどに興味を持っている。滞在中、アイハウスを含めた日本の各所で上映会を行う予定である。
https://www.dakotagearhart.com/
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リー・ソマーズ Lee Somers(陶芸家)
セラミック・コラージュ作家が、六古窯他を訪問
2023年5月19日~8月18日来日予定
アーティスト・フォーラム:日程未定
アルフレッド大学芸術デザイン校で学び、1999年に学士号、2006年に修士号を取得。作家ウェイン・ヒグビーの助手を数年勤め、中国との文化交流プログラム開発にも携わる。現在は米国アラバマ州、モンテバロ大学で教鞭をとる。作品では自然と文化の要素を組み合わせた風景を陶器で描くコラージュの手法を基軸として、時間と空間の経験を反映させた構図に、異なる素材とモチーフを多層的に重ねて制作する。これまでの作品は国内外で広く展示されている。
フェローシップでは北陸・越前を拠点に六古窯やその他工芸の里、様々な日本の遺産を回る予定である。各地を訪れながら素材を集め、技術や構想を学び、創作の幅を広げて日本の窯にまつわる遺物、歴史、文化への理解を深める。最終的には、伝統と現代的な解釈を合わせた作品群を作ることを目標とする。並行して作品とその影響を記録した論文を執筆し、レジデンシー終了後一年以内に発表する予定である。
Scape I
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■日米芸術家交換プログラム(US-Japan Creative Artists Fellowship Program)
米国人芸術家を派遣し、日本で研究・創作活動をする機会を提供する日米友好基金(JUSFC)主催のプログラムです。文化庁、全米芸術基金(NEA)、国際文化会館協力のもと、1978年より実施されており、現代音楽、演劇、舞踊、映画・ビデオアート、絵画、彫刻、工芸、文学、建築など、様々な分野で活躍する芸術家が毎年5名(5組)選抜され、3~5ヵ月間日本に滞在します。
■公益財団法人 国際文化会館 https://ihj.global/
日本と世界の人々の間の文化交流と知的協力を通じて国際相互理解の増進をはかることを目的に、1952年にロックフェラー財団をはじめとする内外の諸団体や個人からの支援により設立された非営利の民間団体です。創立70周年を機に「多様な世界との知的対話、政策研究、文化交流を促進し、自由で、開かれた、持続可能未来をつくることに貢献する」という新たな使命のもと、アジア・太平洋地域を代表する知の交流の拠点となり、グローバルでよい高いインパクトを発することを目指してまいります。事業活動は主として、①国際関係・地域研究・地政学、②社会システム・ガバナンス・イノベーション、③文明論・哲学、④アート・デザインの4つの領域からなるプログラム部門と、その事業を支える国際交流の場としての施設の維持運営にあたる業務部門とからなっています。