河出書房新社のプレスリリース
『ベートーヴェン捏造 名プロデューサーは嘘をつく』は、現代に語り継がれるベートーヴェン像が、秘書により捏造されていたという「会話帳改竄事件」の真相に迫る、衝撃的な歴史ノンフィクションです。
「会話帳」とは、聴力を失ったベートーヴェンが周囲の人とコミュニケーションを取るために用いた筆談用ノートです。1977年、後世の研究者や伝記作家らが一次資料として当たっていたこのノート群が、何者かにより書き換えられていたと判明し、世界中が震撼しました。ノート群が改竄されていたとなると、『交響曲第5番』の「ジャジャジャジャーン」のモチーフについて、ベートーヴェンが「このように運命が扉を叩くのだ」と述べたという逸話も疑わしくなります。
100年以上にもわたり多くの人々を騙し続けた「犯人」の名は、アントン・フェリックス・シンドラー。音楽家でもあり、誰よりもベートーヴェンの近くで忠誠を誓い、尽くした人物です。なぜ、何のために彼は改竄に手を染めたのでしょうか?本作はシンドラーの目を通して、19世紀の音楽業界を辿ります。
音楽史上最大のスキャンダルの「犯人」目線というスリル感、緻密な文献調査に基づく満足感たっぷりの読み応え、ミステリーとしてもノンフィクションとしても楽しめる極上の読書体験をぜひお楽しみください。
■「ぜひ、この驚きを分かち合いたい。徹夜本です。」──宮部みゆき氏、絶賛!
本作は、単行本刊行時(柏書房、2018 年)に宮部みゆきさんの「徹夜本です。」帯文も話題となり、Amazonのクラシック関連ランキングで第1位を記録するなど、ベストセラーとなりました。音楽ファンもミステリーファンも絶賛した名作がさらに広く読まれることを願い、このたび河出文庫として発売いたします。文庫化に際しては単行本を加筆修正し、「文庫版あとがき」とアナキズム研究者の栗原康さんによる解説を収録しております。
■『ベートーヴェン捏造 名プロデューサーは嘘をつく』目次
序曲 発覚
第一幕 現実
第一場 世界のどこにでもある片田舎
第二場 会議は踊る、されど捕まる
第三場 虫けらはフロイデを歌えるか
第四場 盗人疑惑をかけられて
第五場 鳴りやまぬ喝采
間奏曲 そして本当に盗人になった
バックステージⅠ二百年前のSNS──会話帳からみえる日常生活──
第二幕 噓
第一場 騙かたるに堕ちる
第二場 プロデューサーズ・バトル
第三場 噓vs噓の抗争
第四場 最後の刺客
バックステージⅡメイキング・オブ・『ベートーヴェン捏造』──現実と噓のオセロ・ゲーム──
終曲 未来
単行本版 あとがき
文庫版 あとがき
解説 栗原康
関連年表
註
■著者紹介
かげはら史帆(かげはら・しほ)
1982 年、東京郊外生まれ。法政大学文学部日本文学科卒業、一橋大学大学院言語社会研究科修士課程修了。著書に『ベートーヴェンの愛弟子 フェルディナント・リースの数奇なる運命』(春秋社、2020 年)、『ニジンスキーは銀橋で踊らない』(河出書房新社、2023 年)がある。
かげはら史帆
■書誌情報
・書名: ベートーヴェン捏造 名プロデューサーは嘘をつく
・著者: かげはら史帆
・仕様:文庫/並製/368ページ
・発売⽇:2023年11⽉7日
・税込定価:990円(本体900円)
・ISBN:978-4-309-42015-8
・装丁:坂野公一・吉田友美(welle design)