没後10年『仁義なき戦い』菅原文太の傑作評伝 『飢餓俳優 菅原文太伝』11月28日発売

株式会社新潮社のプレスリリース

「山守さん、弾ぁまだ残っとるがよう・・・・・・」日本中を熱狂させた映画『仁義なき戦い』(深作欣二監督作品)で主演を務めた俳優の菅原文太さん。今年で没後10年となりました。昭和を代表する名優の秘められた素顔に迫ります。

『仁義なき戦い』や『トラック野郎』で日本中を熱狂させた昭和の名優、菅原文太さんが亡くなって今年で10年となります。時代劇専門チャンネルでは菅原文太特集が組まれるなど、今再び注目を浴びている菅原さんですが、私生活はまったく知られていません。

「ヤクザ役の人間が私生活で幸せっていうんじゃ、説得力がないでしょう」と公私を完璧に分けたのですが、著者の松田美智子さんは数々のインタビュー記事や、菅原さんと仕事をした監督にインタビューをし、菅原文太という人間を見事炙り出します。

菅原さんは東北の貧しい農家の出で、母親は幼少期に愛人と出奔。一家は崩壊します。早稲田大学に進学するも、除籍。フラフラしていたときにモデルとしてスカウトされてなんとか食いつなぐも鳴かず飛ばず。偶然東宝の宣伝部員に声を掛けられて銀幕デビューを果たすも、来る仕事来る仕事すべて脇役ばかり。くさって酒と女に溺れる日々の中、やっと掴んだのが『仁義なき戦い』の広能昌三役でした。

この映画に衝撃を受けたのが、「北の国から」の監督で知られる杉田成道氏です。本作の解説を杉田さんは執筆しました。

<「山守さん、弾はまだ残っとるがよう・・・・・・」。優れた俳優は、決め打ちの名台詞を残す。僕らはどれだけこのセリフを真似たことだろう。新宿ゴールデン街で酔いつぶれ、カウンター越しに演劇人と喧嘩して、たいてい最後にこのセリフで締めくくるのが定番であった、1970年代のあの頃。菅原文太は時代を疾走する僕らの星であった。>

その後、どうしても菅原さんと仕事をしたいと願って依頼をしたのが、『北の国から‘92巣立ち』でした。純君とつき合い、妊娠して子供を堕ろしてしまう、裕木奈江演じるタマコの叔父の役でした。

菅原さんはテレビドラマでも容赦ない。純を殴るシーンでは本当に純を2メートルもぶっ飛ばし、現場を凍り付かせた。台本に書いていないのに、さらにもう一発。杉田監督は<ほんものの暴力がそこにあった。約束ごとでない、なれ合いを拒否する、ほんものの肉体である。映画俳優だぁ、と心底思った>と振り返ります。

そして今でも語り継がれる名シーン。「誠意って何かね」。この一言は菅原さんでなければ表現できなかったと杉田さんは綴ります。

もうあんな男は出てこない――。杉田さんの解説も必読です。

■ 著者紹介

松田美智子(まつだ・みちこ)

山口県生まれ。金子信雄主宰の劇団で松田優作と出会い結婚。一子をもうけて離婚。その後、シナリオライター、ノンフィクション作家、小説家として活躍。『越境者松田優作』、『水谷豊自伝』(水谷豊との共著)等のノンフィクション作品を多数発表。

■ 書籍データ

【タイトル】飢餓俳優 菅原文太伝

【著者名】松田美智子

【発売日】10月28日

【造本】新潮文庫

【定価】825円(税込)

【ISBN】978-4-10-133042-6

【URL】https://www.shinchosha.co.jp/book/133042/

Follow Twitter Facebook Feedly
SHARE
このページのURLとタイトルをコピー
お使いの端末ではこの機能に対応していません。
下のテキストボックスからコピーしてください。