40年寝かされた原稿が発売後、即ベストセラーに! 江戸の名著『北越雪譜』が辿った数奇な道のりを描く。
株式会社新潮社のプレスリリース
直木賞作家・木内昇さんが江戸のベストセラー『北越雪譜』の知られざる舞台裏を描いた小説『雪夢往来』を12月16日、新潮社より刊行いたします。
越後の商人・鈴木牧之による名著『北越雪譜』の、原稿完成から刊行に至るまで実に40年にわたる風雪の年月を、山東京伝、滝沢馬琴、山東京山ら江戸の戯作者たちを交え、4つの視点から描く長篇小説です。
『北越雪譜』は初稿が山東京伝の目に留まるなり、すぐに刊行の話が出ましたが、京伝と組んだ版元(出版社)が金銭を要求⇒他の版元を紹介してくれた仲介者が刊行直前に次々死去⇒滝沢馬琴に12年も原稿を抱え込まれたうえ馬琴の著作に原稿を盗用される……と、越後から遠く離れた江戸出版界にさんざん翻弄され続けた数奇な書物です。初稿完成から40年後、最初に刊行を申し出た山東京伝の弟・山東京山の手でついに世に出た後は、たちまちベストセラーとなり、現在も岩波文庫その他の形で読み継がれています。この物語以上に物語のような話を、それぞれの作家たちが創作に懸ける熱量とともに描き出したのが本作です。
舞台は2025年の大河ドラマ「べらぼう」の主人公、蔦屋重三郎が死んだ直後で、現代の出版システムの基礎が出来上がった時代。版元と作家が互いを値踏みし合う駆け引きは息を呑む生々しさです。また、今では新幹線で1時間半の江戸と越後が距離的にも文化的にもどれほど隔たっていたか、そしてそれを『北越雪譜』がどのように結んだかも描かれ、大変刺激的な作品となっています。
内容紹介
行商に訪れた江戸で、ふるさと越後がまるで知られていないと悟った塩沢の縮仲買商・鈴木牧之。彼が雪国の風俗や綺談をまとめた「雪話」は人気戯作者・山東京伝の目に留まり、出版へと動き始める。しかし版元からの金銭要求、度重なる仲介者の死去に見舞われ、事態は膠着。原稿は京伝への敵対意識に燃える滝沢馬琴の手に渡り、ついに全てが動き出すかに見えたが――。名著が世に出るまでの風雪と、虚々実々の江戸出版界を縦横に描ききる傑作長篇!
著者紹介
木内 昇(きうち・のぼり)
1967年生まれ。出版社勤務を経て独立し、インタビュー誌「Spotting」を創刊。編集者・ライターとして活躍する一方、2004年『新選組 幕末の青嵐』で小説家デビュー。08年に刊行した『茗荷谷の猫』が話題となり、早稲田大学坪内逍遙大賞奨励賞を受賞。11年に『漂砂のうたう』で直木賞を受賞。13年に刊行した『櫛挽道守』は中央公論文芸賞、柴田錬三郎賞、親鸞賞を受賞した。他の作品に『よこまち余話』『光炎の人』『球道恋々』『火影に咲く』『化物蠟燭』『万波を翔る』『占』『剛心』『かたばみ』『惣十郎浮世始末』など多数。
書籍データ
【タイトル】雪夢往来
【著者名】木内昇
【発売日】12月16日
【造本】四六判ソフトカバー 400ページ
【定価】2,200円
【ISBN】978-4-10-350957-8