コロナ禍で見直される“リアルイベント” 地方テレビ局として取り組んだ「ドライブインシアター」事例報告

株式会社福島中央テレビのプレスリリース

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で今年の春以降、日本全国では“ステイホーム”を合言葉に多くの人が自宅に閉じこもらざるを得ない状況となりました。3密を避けるために、親しい友人との交流が制限され、職場環境もリモート化。感染防止対策のために“オンライン”によるやり取りが増える中、いま多くの人々が“リアルイベント”を求める傾向にあります。そうした中で今夏、ローカルテレビ局の福島中央テレビ(本社:福島県郡山市)が取り組んだ「ドライブインシアター」というイベントの実施事例を紹介。来場者のアンケート結果から見えたものとは…?

■コロナ禍で求められるリアルイベント

 新型コロナウイルス感染拡大で福島県でも経済活動が停滞し、飲食店や観光施設を始め多くの事業者が窮地に陥りました。中には売り上げが9割減少という事業所もあり、厳しい経済状況が長期化する中で、“3密を避けながら地域を活性化しよう”というテーマで企画したのが「ドライブインシアター」です。イベントの情報公開後は、当初予想していた以上の反響があり、チケット販売開始からわずか2日間で初期販売のチケットが完売する結果となりました。
 

<イベント概要>

イベント名称:「中テレ ドライブ・イン・シアター」※中テレは福島中央テレビの愛称
開催期間:2020年7月23日~26日、8月1日~2日 (6日間)
各日19:30~上映開始
開催場所:株式会社日本デジタル研究所郡山工場(郡山西部第二工業団地内)
チケット:特別観賞エリア 1台5,000円 一般観賞エリア 1台3,000円
※セブンチケットによる販売
観覧台数:各日66台×6日間 396台
WEBサイト:http://www.fct.co.jp/event/drive_in_theater/

■感染リスクの低いプライベート空間
 感染リスクを避けるために来場者は入場チケットの確認と軽食の受け渡し以外、原則として運営スタッフとの接触はなし。自家用車による上映会場への入場から鑑賞後の退場まで、トイレを利用する場合を除き、車から降りずに安心して映画を鑑賞してもらう形です。また、会場内では来場者とスタッフの安全管理を徹底するとともに、ソーシャルディスタンスを確保するなどの感染防止対策を行いました。来場者アンケートからは、こうした対応に多くの好感の声が寄せられました。
 

▼新型コロナ感染対策

【来場者への対応】
・ソーシャルディスタンスを確保し待機列管理

・運営スタッフは最低人数で対応し接触率低下
・会場内では厚生労働省の感染防止対策ガイドラインを繰り返しアナウンス

【スタッフの対応】
・会場到着時に体温検査及び健康状態をヒアリング
・マスクと手袋の着用、こまめな手指の消毒を徹底
 

 【来場者アンケートより】

  • 「ドライブインシアターは初めてでしたが、車内でリラックスして映画を鑑賞することができました。3密回避のために自宅で過ごしがちな中、いい気分転換になりました。」(40代女性・主婦・家族と来場)
  • 「自粛続きの中、コロナ対策を取り入れながら開催できるドライブシアターは最高でした。音楽ライブもこういう方法で見られたら良いなと思いました。」(50代女性・自営業・夫婦で来場)
  • 「映画館とはまた違う感覚で、コロナで気分が沈む中、久々に楽しい気持ちになりました!また次回あれば絶対に行きたいです。」(20代・女性・会社員・恋人と来場)
  • 「私の世代では海外ドラマの中でしか知らなかった車に乗って映画を観るという機会。私は勿論、子ども達にとっても貴重な体験でした。車の中で各々好きな食べ物を食べながら笑いながらホントに素敵な時間でした。」(30代女性・パート・家族5人で来場)

■自治体関係者も注目した低予算のオリジナルスクリーン設置
 会場に設置したスクリーンは、高さ5.4メートル・幅8.4メートル。一般的なドライブインシアターのスクリーンにも引けを取らない大きさです。車の中からの視認性を確保するために設置ベースを車の車高より高い地上1.8メートルとし、車5列が並べるように設置しました。スクリーン製作に使用したのは、映画専用のスクリーンではなく、鉄製のパイプを使った組み立て足場(イントレ)とビニール製の白いシート。“低予算化”を実現するために、ドイブインシアターの専門業者ではなく福島県の地元イベント会社と共同で考案した完全オリジナル。
 イベントの実施コストが高くなれば、来場者にも高額な入場料の負担を求めることになります。しかし、新型コロナウイルス感染拡大で地域経済もダメージを受け、県民の収入にも影響が出ている中、「気軽に来場してもらうために、できるだけ費用を掛けずに実施したい」というのが運営側の大きなテーマでした。会場には、福島県内の自治体関係者も視察に訪れ「思っていた以上に映像や音も本格的で、海外でやっているドライブインシアターがこうした日本の地方都市でも実施できることに驚きました。」との感想を語ってくれました。

▼オリジナルスクリーン
地元イベント会社と共同で制作し低コスト化を実現。風向きによってビニール製のスクリーンが“よれる”ことがあったものの、上映には大きな影響はでませんでした。

■テレビ局の強みはイベント実施に重要な“気象予測”ができること
 一方、苦労したのは天気対策です。開催時期は真夏で不安定な天気が続く時期、風雨でビニール製のスクリーンがめくれ上がる不安だけでなく、強風で倒れる危険性もありました。そのリスクを管理に当たったのが、テレビ局ならではの“気象予報士”の存在です。お天気キャスターを務めていた経験を持つ社員が、オリジナルスクリーンの強度と耐えられる風の強さを計算し、イベントが安全に開催できる条件を「風速5メートル以内」と決定。開催日の天気図や雨雲の動きなどを分析し開催の可否を判断しました。上映中に雨が降った日もありましたが、幸い全日程で上映中止になることはなく来場者たちの安心感につながりました。

【来場者アンケートより】

  • 「当日はあいにくの雨でしたが、途中から雨が止んで、大スクリーンに映って車から眺めるこの光景は忘れられない思い出になりました。」(30代男性・会社員・友人と来場)
  • 「雨が降っていても映像と音声に何の支障もなく、とても快適に観賞できました。また次の機会があれば是非参加したいです。」(20代男性・公務員・家族6人で来場)

 ■来場者に好評!「FMトランスミッター」による迫力の音声
ドライブインシアターでは映画の音声を「FMトランスミッター」という装置で、カーステレオのFMラジオに送信します。電波法で高出力での送信は違法となるため、1台で40メートル四方に音声を届けられる機器を計6台設置し、会場内のどの場所に駐車しても迫力の音声が楽しめる工夫をしました。

【会場配置図】黄色の印の位置にFMトランスミッターのアンテナを設置

■地元映画館とタッグを組み作品選定
 今回のイベントは、コロナ禍で不要不急の外出自粛を求められた市民に「映画文化に触れる機会を届ける」という目的もありました。地方のほとんどの映画館が一時営業自粛となり、大きなスクリーンで作品を楽しむ機会が減っていたからです。そこで郡山市の映画館「郡山テアトル」(東日本映画株式会社)と連携して作品の選定を進めました。配給会社と深いつながりのある地元映画館の力で、数百を超える上映候補作品の中からドライブインシアターに合ったファミリーやカップル向けの魅力的な5作品を選び、予算内での上映が可能となりました。

▼上映作品に関する情報は以下を参照
WEBサイト:http://www.fct.co.jp/event/drive_in_theater/

【来場者アンケートより】

  • 「カーラジオでの音響はどんな感じなのだろうと少し不安はありましたが、はっきり聞こえ、自分で音量調節できるのがいいなと思いました。価格もお手頃で、夏休みの貴重な思い出ができました。」(30代女性・会社員・家族5人で来場)
  • 「FMラジオを使っての音声はとても迫力があり、映画を楽しむことができました。」(40代男性・団体職員・恋人と来場)
  • 「初めてドライブインシアターというものを体験しましたが、想像以上に映像も綺麗で、音声も問題無く楽しむことが出来ました。ソーシャルディスタンスを保ちながら、映画館と自宅のいいとこ取りの雰囲気を味わえてとても楽しかったです。」(30代女性・会社員・友人と来場)

■地元立地企業の協力とイベント趣旨への賛同企業が後押し
 同様のイベントを実施する場合、上映作品によっては高額な費用がかかり、スクリーン設置なども専門業者に依頼するとなると、チケット収入だけでは到底運営できないビジネスモデルとなってしまいます。また、運営費用を捻出するために入場料が割高になると、来場者が集まらない恐れもあります。今回のイベントでは、一般観覧エリアの入場料を1台3000円に抑えながら、運営に充分な収支計画を立てることが実現しました。
 その理由は、会場の場所提供を含め多くの地元立地企業からの協賛を得られたからです。工業団地内にある「株式会社日本デジタル研究所郡山工場」に上映会場を無償で提供していただいたことを始め、特別協賛社の「株式会社樋口機工」始め地元企業17社から協賛をいただきました。新型コロナウイルス感染拡大で協賛社も様々な困難と直面していましたが、「コロナに負けずに地域を盛り上げたい」との思いが多くの来場者にも感動を届けました。
 来場者アンケートからは、1度きりのイベントにせず定期的な開催や子供向けやカップル向けなどターゲットを絞った上映作品の選定など今後に期待することも多く上がっていました。

 【来場者アンケートより】
(次回以降開催に向けての意見)

  • 「週末ドラインブインシアターはどうでしょうか。ファミリー向けの週、カップル向けの週、友だちとわいわいの週など、ターゲットを絞った内容が凄く良いと思います。」(30代女性・パート・家族5人で来場)
  • 「これを機に頻繁に上映して貰えたら嬉しいと心から思いました。今回は日程が合わなかった方もいると思いますので2回、3回とお願いします。」(30代女性・会社員・家族3人で来場)
  • 「受付から退場まで、他人と接するのは受付時の30秒ほどという、徹底したソーシャルディスタンスという貴重な経験をさせていただきました。次回がもしあったら、多少割高になっていてもまた参加させていただきたいです。」(30代女性・会社員・友人2人と来場)

株式会社福島中央テレビでは、今後も新しいニーズを捉え地域の皆様に賛同していただけるイベントを実施していきます。 

■アンケート結果の概要
・来場者対象にWEBアンケート
・家族や友人等で参加した人は代表者が回答
・396組中190組が回答(回答率48%)

■このリリースに関するお問合せ先
株式会社福島中央テレビ
〒963-8533
福島県郡山市池ノ台13-23
担当部署:メディアデザイン部
メール:media@fct.jp

 

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