2026年1月1日、ラジオ局J-WAVE(81.3FM)の音楽番組『SAISON CARD TOKIO HOT 100』が2025年年間チャートを発表し、サカナクションの「怪獣」が1位に輝いた。年間エントリー1397曲の中から総合ポイントで頂点に立ったこの楽曲は、ボーカル・山口一郎(45)がうつ病による約2年間の活動休止を経て発表した復活作であり、バンド初のアニメ主題歌として大きな注目を集めていた。
「怪獣」誕生の経緯と大ヒットへの道のり
「怪獣」は2024年10月よりNHK総合で放送されたTVアニメ『チ。―地球の運動について―』のオープニング主題歌として制作された楽曲である。サカナクションにとって初のアニメタイアップとなった本作は、構想に2年を費やし、2025年2月20日に配信リリースされた。前作「ショック!」から約3年ぶりの新曲であり、バンドのこれまでの楽曲の中で最速となるBPM 180が採用されている。
楽曲は配信開始直後から爆発的なヒットを記録。Billboard JAPAN「Hot Animation」でバンド初のチャートインにして首位を獲得し、Spotify Japanでは配信リリース日の再生記録歴代1位を達成した。2025年12月時点でストリーミング累計再生数は3.2億回を突破し、歴代最高の再生数を記録している。
山口一郎は受賞に際し、「2023年まで、私の体調不良により約2年間活動を休止していましたが、2024年にツアーで復活し、2025年には『怪獣』という楽曲をリリースすることができました」とコメント。「良い状況というのは、意外と長くは続かないものだと感じる一方で、悪い時期はとても長く続くように思えてしまう。しかし、改めて振り返ると、良い時が永遠でないように、悪い時もまた永遠ではない」と、闘病生活を経て得た心境を明かした。
うつ病との闘いと完全復活
サカナクションは2022年7月から、山口のうつ病により約2年間にわたりライブ活動を休止していた。山口は2022年5月頃、バンド結成15周年の配信ライブ終了後に体調の異変を感じ、メンタルクリニックを受診。「それ、しっかりとしたうつ病ですよ」と診断を受けたという。当初は「3カ月ぐらいですぐによくなる」と考えていたが、症状は一進一退を繰り返した。
2024年1月、山口はソロライブツアーの千秋楽でうつ病であることを公表。同年4月20日、幕張メッセで開催された全国アリーナツアー「SAKANAQUARIUM 2024″turn”」初日公演で完全復活を果たし、約2万人のファンの前で「サカナクション復活でーす!」と宣言した。
「怪獣」の制作過程は、NHKスペシャル『山口一郎 “うつ”と生きる ~サカナクション 復活への日々~』(2024年5月放送)および続編『山口一郎 “うつ”からの再出発~サカナクション「怪獣」との格闘~』(同年10月放送)で密着取材され、うつ病を抱えながら楽曲完成に挑む5人のメンバーの姿が記録された。2025年12月31日には12年ぶり2回目となる『第76回NHK紅白歌合戦』に出場し、代表曲「新宝島」と「怪獣」を披露している。
サカナクションのプロフィール
サカナクションは2005年に北海道札幌市で結成された5人組ロックバンド。メンバーは山口一郎(ボーカル・ギター)、岩寺基晴(ギター)、草刈愛美(ベース)、岡崎英美(キーボード)、江島啓一(ドラム)で構成される。2007年にビクターエンタテインメントからメジャーデビュー。バンド名は「魚」と「アクション」を組み合わせた造語で、「変化を恐れずやっていこう」という意味が込められている。
文学性の高い歌詞とフォーキーなメロディ、ロックバンドのフォーマットからクラブミュージックまでこなす変容性が特徴。「アルクアラウンド」「アイデンティティ」「新宝島」など数々のヒット曲を生み出し、2013年には『第64回NHK紅白歌合戦』に初出場。2015年には映画『バクマン。』の音楽で第39回日本アカデミー賞最優秀音楽賞をロックバンドとして初めて受賞した。
なお、年間チャート2位にはアニメ映画『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』の楽曲「Golden」、3位にはHANA「Blue Jeans」がランクインした。