CCCMKHDのプレスリリース
CCCマーケティング株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:北村和彦)が設立した7000万人の思いを紡ぐ研究所「CCCマーケティング総合研究所」(以下「CCCMK総研」)は、このたび、「生活者の意識調査 ~2020年の社会や世の中は”何色”だった?~」(https://www.cccmk.co.jp/thinktanks/column-12)を実施し、その結果をまとめました。
新型コロナウイルス感染症の世界的な流行に見舞われた2020年も、間もなく年末を迎えようとしています。
今年は、これまでに私たちが経験したことのないような大きなライフスタイル(生活様式)の変化が、半ば強制的にもたらされた1年でした。皆さんはこの1年を振り返って、どのような出来事が記憶に残っているでしょうか。またそれは、皆さんの中にどのような印象を残したでしょうか。
本コラムでは、2020年11月16日~20日にかけて1,980人のT会員の皆様を対象にCCCMK総研が実施したアンケートの結果についてご紹介していきます。このアンケートでは、今年(および去年、来年)の社会や世の中について『色』に例えて答えていただくというアプローチを取っています。選択した色とその理由、および印象に残った今年の出来事などから、生活者の皆さんが抱く2020年への想いや価値観を読み解いていくとともに、2021年への希望についても見ていきたいと思います。
※アンケート中で「色」の選択肢として提示したものは次の16種類となります。
白、グレー(灰色)、黒、赤、ピンク、オレンジ、茶、黄、黄緑、緑、水色、青、藍、紫、金色、銀色
- 2020年の社会や世の中を表す「色」は「グレー」が圧倒的
図1は、昨年(2019年)と今年(2020年)のそれぞれについて『社会や世の中を表すと思う色』を回答していただいた結果です。一目見て明らかと思いますが、2019年と2020年では円グラフを構成する色の要素が大きく異なっています。
2019年では上位の「白」「グレー」に続いて、「オレンジ」「水色」「黄」「黄緑」といった比較的明るい色合いのものが多く挙げられているのに対し、2020年は全体のほぼ半数が「グレー」と回答、2番目に多い「黒」と合わせると、実に3人に2人がモノトーン色を回答する結果となりました。
2019年に約3分の1を占めていた明るい色は2020年では上位から姿を消し、代わって「茶」「藍」「紫」といった比較的重め・暗めの色が上位にランクインした格好です。(※ただし、2019年については、2020年との対比によって敢えて明るめの色が選ばれた傾向も考えられます)
ちなみに、2020年の社会や世の中を表す色として上位に入った「グレー」「黒」「赤」について、選んだ方の割合を性別・年代別で見ると下記のような傾向でした。
女性や年代が高い層ほどグレーを選ぶ傾向が強く、赤はその正反対の傾向となっています。また、黒を選んだ方は男性に多かったようです。
- 2020年の「色」を印象付けたものとは
では、生活者の皆さんが2020年を表すと感じた色は、どのようにして印象付けられたのでしょうか。その色を選んだ理由についての自由回答と、「印象に残った出来事」の集計から読み解いていきます。
まずは、2020年を表す色として1番目と2番目に多かった「グレー」と「黒」から見ていきます。
この2色を選んだ方の間では、印象に残った出来事に大きな差はほとんど見られません。唯一差がついている「プロ野球の開幕延期・試合数削減」は、「黒」を選んだ方に男性が多かったことが効いていると考えられます。
一方で、その色を選んだ理由の抜粋をみると「暗い」というワードは共通しているものの、それ以外で若干の差が見て取れます。「グレー」を選んだ方では、”不安な気持ちや不透明感”といった見通しの暗さに関するコメントが多いのに対し、「黒」を選んだ方は”真っ暗、暗黒”など、相当に暗いイメージの言葉が散見されました。同じモノトーン色であっても、その色の濃さがまるで今後の希望の有無を反映しているかのようですらあります。
続いて、3番目に多かった「赤」を選んだ方をみると、自由回答の方に強い危機感を感じさせるワードが多く並んでいることが目立ちます。”警告・アラート、危険・危機感、赤信号”といった警告系の表示に基づく色のイメージに加えて、”赤字”という経済状態に関する言及も見られました。「赤」を選んだ方が、上位の「グレー」「黒」を選んだ方に比べて、現在進行中の状況に対する強い危機感を抱いているようにも感じられます。
その他の色に目を向けると、6番目に多い「藍」を選んだ人で、印象に残った出来事が多岐にわたっていることがわかります。「藍」を選んだ方に40代以下が若干多かったという傾向はあるものの、それ以上に全般的に感度が高く、情報摂取に意欲的な方が「藍」を選んだと言えるのかもしれません。自由回答を見ても、暗さは感じるものの、いつか来る夜明けへの希望も込められているような、他の色とは異なる傾向の回答が見られました。
また、2020年の色として8番目に多かった「黄」については、自由回答で”注意、危険、黄信号、イエローカード”のように危機感を示すワードが多く上がっているものの、印象に残った出来事で新型コロナウイルス感染症関連を選んだ率は全般に低いという不思議な傾向が見て取れました。先ほど、「赤」を選んだ方が強い危機感を抱いていることに触れましたが、「赤」と「黄」の警告度の違いが、その色を選んだ方が抱く危機感の強さにそのまま比例しているとも言えそうです。
- 2021年の「色」に込めた希望は
最後に、2021年への希望について読み解いていきましょう。図3は、「2021年になってほしいと思う社会や世の中を表す色」と「2021年に期待すること」を集計したものです。
2021年になってほしい色で最も多くの回答を集めたのは「金色」で、それに「白」「オレンジ」が続く結果となりました。それ以降も、「黄」「水色」など比較的明るい色が多く続いており、明るい年になってほしいという願いが表れていると言えそうです。
「金色」を選んだ方が2021年に期待することをみると、すべての項目で全体平均を上回る期待度となっていますが、中でも「東京五輪・パラリンピックの開催」「ライブ・コンサート・スポーツイベントなどの例年通りの開催」に高い期待を寄せていることがわかります。もし今年、東京五輪・パラリンピックが予定通りに開催されていたら、2020年を表す色としてやはり「金色」が多く選ばれていたのだろうかなどと想像してしまいます。
2番目に多い「白」を選んだ方の2021年への期待度をみると、全体平均を上回っている項目はなく、全般に冷静な期待度であると言えそうです。反対に「オレンジ」を選んだ方では、「金色」と同様にすべての項目で全体平均を上回っており、中でも「新しい生活様式の継続」「経済低迷からの回復」「国家間の対立による緊張の緩和」などに期待する傾向が高いようです。
なお、表の一番右には、2021年になってほしい色として7番目に多かった「グレー」を選んだ方の集計も取り上げていますが、すべての項目が全体平均を大きく下回る期待値となっており、かなり悲観的な様子がうかがえます。2021年の色として「グレー」を選んだ方が2020年に選んでいた色を見ると、3割以上が「黒」、残りの多くが「グレー」であったことから、「黒よりは少し明るい程度」または「現状維持」を望んだ結果の表れとみることができそうです。
今回は、”社会や世の中を『色』に例える”という方法で、生活者が抱く2020年に対する印象や2021年への希望を読み解きました。暗くて先行き不透明感が強かった2020年から、明るい色で満たされた2021年へ‥このアンケートで生活者の皆さんが望んだような社会や世の中が1日も早く取り戻されてほしいと願わずにはいられません。
【調査設計】
調査地域 :全国
調査対象者:男女・20~69歳
サンプル数:1980サンプル
調査期間 :2020年11月16日(月)~11月20日(金)
実査機関 :CCCマーケティング株式会社(Tアンケートによる実施)
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【調査内容】
質問数:全10問
内容:
・2020年の社会や世の中を表すと思う色
・2020年の印象に残った出来事、社会や世の中を表す色を選んだ理由となった出来事
・2019年の社会や世の中を表すと思う色
・その色を回答した理由(自由回答)
・2021年になってほしい社会や世の中を表す色、2021年に期待していること
・現代社会におけるいろいろな要素の浸透度
・2030年までに浸透すると思う日常・社会のありかた、価値観
【集計内容】
・単純集計
【注意事項】
・クロス集計において、集計対象数が極端に少なくなる質問は出力していません。