株式会社サンライズプロモーション東京のプレスリリース
イベントの企画・制作・運営を行う株式会社サンライズプロモーション東京(本社:東京都港区、代表:高橋一仁)は、ヴァイオリニスト・山根一仁の本格的なリサイタルを、2月18日(火)から、埼玉、静岡、京都、東京の4か所で開催します。
山根一仁/©︎宮森庸輔
--今年は、トッパンホール ニューイヤーコンサート 2020から始まりましたが、ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲集Op.8-1~4《四季》を演奏されていかがでしたか?
つねに新鮮さを求めなければいけないけれど、それが奇を衒うことになってはいけないと考えています。そのバランスが、今回はかなり良いレベルでできたと、われながら感じています。なにより、ヴァイオリンのダニエル・ゼペックさんやチェロのペーター・ブルンズさんはじめ、あのメンバーで演奏できたことがすごいことでした。リハーサルから本番までたくさんのアイデイアを出し合いながら素晴らしい時間となりました。
--2月18日からは、ソロリサイタルを埼玉・静岡・京都・東京で開催されますが、プログラムはお決まりですか?
ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第5番《春》と、フランクのヴァイオリン・ソナタを中心に、シュニトケの《古い様式による組曲》とストラヴィンスキーの《イタリア組曲》を弾きます。
--ヴァイオリニストはどんなことを考えながらプログラムを決めるのでしょうか?
僕はけっこう思いつきで決めることもあります。でも今回は、共演するピアニストの小林海都くんが、去年の11月にスイスのバーゼルからミュンヘンの僕の自宅に来てくれて、このリサイタルのプログラムを相談しながら、二人でいろんな曲を弾きました。ただただ音楽を楽しみながら二人で遊びまくるという、とても幸せな時間です。ベートーヴェンも弾いたし、ブラームスも弾いたし、あとはシューベルトも。二人のあいだではかなり「シューベルトいいね!」という話になって。ですが、今回はシューベルトが入っていません。ただ僕は、いつもいろんな可能性を探りたいという気持ちがあって、いわゆる名曲、題名が付いているような人気のある曲をあまりわざわざ演目にチョイスしてきませんでした。今は自分もいろいろ曲を勉強したいし、お客さんにも紹介したいので。だからベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第5番《春》も、いままでのコンサートであまり演奏してきていない楽曲だったのですが、今回ぜひ海都くんとやりたいという気持ちが芽生えました。
フランクも海都くんとやるからこそで、彼の音に合っている作品だと思います。ストラヴィンスキーの《イタリア組曲》は、すごく楽しい気楽な曲で、まさにイタリアな感じ。悩んで弾く曲でもないし、二人でいろんなアイディアを出し合って楽しく演奏したいと思います。
--ストラヴィンスキーもシュニトケも、20世紀の作品ですが、それぞれ古典を素材にしたり、古典的な様式で作曲していたり、二人のハマっている「古典」というキーワードで括ることができますね。シュニトケについては何かありますか?
僕、ロシアの音楽が大好きなんです。2~3歳の頃、家にあったプロコフィエフの《ピーターと狼》のビデオを毎日見るぐらい大好きで、木の棒をライフルにして狩人になりきったりして踊ってたんです。音楽が好きになったきっかけがそれだったし、4歳のとき、ヴァイオリンを始めたきっかけはショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲第1番でした。たぶんあのリズム感とか、血が沸き立つようなエネルギーが、子どもながらに気に入ってたんでしょうね。大好きでした。
シュニトケに初めて接したのは中学2年のときです。翌年の日本音楽コンクール(編注:中学3年生で第1位。中学生の1位は26年ぶりだった)の課題曲がシュニトケでした。ヴァイオリン・ソナタ第1番だったのですが、ショスタコーヴィチの協奏曲とすごく雰囲気が似ている楽章もあって、この音楽は僕にすごく合っていると、いいイメージを持ったのがシュニトケです。今回演奏する《古い様式による組曲》も、アンコールでは何度か、組曲のなかの1曲だけを弾いたりしていたのですが、ぜひ全部やってみたくて。いままでなぜやらなかったのか不思議なぐらい、ずっと弾きたかった楽曲です。
--現在ミュンヘン音大で学んでいますが、ミュンヘンはいかがですか?
ミュンヘンはいいところです。ベルリンやフランクフルトなどの大都市に行くと息苦しくて。僕の家から徒歩5分ぐらいのところにニンフェンブルク城という小さい可愛いお城がありますが、そこはベートーヴェンが《田園》を書いたウィーン郊外の村もこうだったんじゃないかっていうようなところです。小川があって、鳥が鳴いて、樹々がざわざわして、光が射していて。そういうところを歩くと、音楽って、がんばる必要はないなぁって感じます。もちろん僕にとって音楽は仕事であり生きるすべではありますが、究極の趣味みたいなつもりでやりたいと心の中では思っています。音楽は、聴いてくださる方はもちろん、自分にも安らぎを与えてくれるものであり続けたいと考えています。
--バッハの名手としても知られるヴァイオリニストで指揮者のクリストフ・ポッペンに師事されていますが、ベートーヴェンなどの古典についても学びましたか?
ポッペン先生は研究熱心で、そのためレッスンはとても細かいです。ただ、たとえば僕が先生と真逆のことをやっても、それがきちんと自分で考えてやっていることだったら尊重してくれます。最近気づいたのですが、先生と違う解釈、といっても、なんだかんだいって先生に影響されているんです。
ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲はもともと自分に合っていると感じていて大好きだったのですが、先生のもとでちゃんと勉強してみたら、「これは凄すぎる」と思い、畏れ多くなってしまって、じつはまだコンサートでは一回も弾いたことがないのです。クライバーのベートーヴェンが大好きで毎日聴いていた子どもだったのに。
だから今回ベートーヴェンの《春》を選んだのも、自分としてはすごく特別です。何かしらの決心をしたのだと思います。多くの演奏家に弾かれている有名曲にどう向き合うか。いかに新しく作り直せるかというのは、音楽家としての見せどころかもしれない。本当に恵まれたピアニストと演奏できるので、うまくいくと思っています。
「山根一仁ヴァイオリン・リサイタル」公演概要
■出演 山根一仁(ヴァイオリン)、小林海都(ピアノ)
■日時/会場
埼玉公演 2020年2月18日(火)開演13:30/彩の国さいたま芸術劇場 音楽ホール
静岡公演 2020年2月19日(水)開演18:30/静岡音楽館AOI
京都公演 2020年2月21日(金)開演18:30/京都コンサートホール アンサンブルホールムラタ
東京公演 2020年2月24日(月・休)開演14:00/浜離宮朝日ホール
■チケット料金 全席指定:4,000円(税込)
■プログラム
シュニトケ:古い様式による組曲
ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ 第5番 ヘ長調 《春》 作品24
ストラヴィンスキー :イタリア組曲
フランク:ヴァイオリン・ソナタ イ長調
※止むを得ない事情により曲目等が変更になる場合がございます
■公演に関するお問合せ:サンライズプロモーション東京 0570-00-3337(平日12:00-18:00)
■山根一仁 プロフィール
1995年生まれ。第79回日本音楽コンクール第1位、レウカディア賞、黒柳賞、鷲見賞、岩谷賞(聴衆賞)、全部門を通じて最も印象的な演奏、作品に贈られる増沢賞も最年少受賞。
中学生の1位は26年ぶりの快挙。これまでにバーミンガム市交響楽団、ミュンヘン交響楽団、プラハ⁼カメラータ、NHK交響楽団をはじめ国内外のオーケストラと共演を重ねる。
ソロリサイタルの他に室内楽ではベルリンフィル五重奏団、P・ウィスペルウェイ、N・メンケマイヤー、などと共演、名手からの信頼も厚い。テレビ、ラジオではNHK『ららら♪クラシック』、『クラシック倶楽部』、NHKFM『名曲リサイタル』、テレビ朝日『題名のない音楽会』等に多数出演している。
第60回横浜文化賞文化芸術奨励賞(最年少)、第2回岩谷時子音楽財団Foundation for Youth賞、第25回青山音楽賞新人賞、第26回出光音楽賞、第19回ホテルオーク賞等受賞。明治安田クオリティオブライフ文化財団奨学生。現在、ドイツ国立ミュンヘン音楽大学在籍中。クリストフ・ポッペン氏のもと、さらなる研鑽を積む。
オフィシャルサイト:http://kazuhitoyamane.jp/