100BANCHのプレスリリース
「100年先の世界を豊かにするための実験区」というコンセプトのもと、これからの時代を担う若い世代とともに新しい価値の創造に取り組む未来創造拠点「100BANCH」で活動する「言の橋(Koto-no-Hashi)」は、開発中の自動字幕作成システムを用いて字幕を付与した映画を上映いたしました。字幕を生成したのは、6月27日(土)に豊島区のミニシアター・シネマハウス大塚で劇場公開されたChen Yi監督による外国語短編作品『Salomé』。また、カンヌ、ヴェネツィア、ベルリン国際映画祭受賞・選出作品『The Last Spring』、『Who Loves the Sun』、『An Odd Turn』にも字幕をつけ、7月4日(土)に上映会を行いました。7月10日(金)から12日(日)に渋谷100BANCHで開催されるナナナナ祭2026では、上記作品を始めとする短編映画に自動作成した字幕をつけて上映するほか、字幕生成のシステムの体験会も実施します。
■ 映像ファイルから字幕ファイルを自動出力するシステムを開発
「言の橋(Koto-no-Hashi)」は、映像ファイルを入力するだけで字幕ファイルを自動出力するシステムの開発を進めています。単なる直訳ではなく映画鑑賞体験としての翻訳字幕を作ることを目指しています。

■開発の背景
字幕の壁が言語を超えた映画の国際展開を妨げている
国内のインディーズ映画制作者が国際映画祭へ応募するには、英語字幕の用意が必要です。しかし専門の字幕翻訳者への依頼には高額な費用と一定の制作期間が伴い、制作費を自己調達することが多い自主制作の現場では、字幕制作そのものが応募の障壁となっているケースが少なくありません。
逆に海外にも多くの優れた映画作品が存在していますが、配給や字幕制作が行われなければ日本の観客に届く手段がなく、上映機会のないまま埋もれている作品が多数あるのが現状です。
実証実験の軌跡 ── カンヌ国際映画祭から国内映画館での利活用まで
■2026年5月に第79回カンヌ国際映画祭で事例紹介
今年5月、「言の橋(Koto-no-Hashi)」プロデューサーの熊谷宏彰が第79回カンヌ国際映画祭に参加し、プロジェクトリーダーの坂本遼と熊谷がそれぞれで監督を務めた自主制作作品から生成した日本語→英語字幕のプロトタイプを現地の映画関係者に提示し、世界各国から集まった映画祭関係者がこの新たな字幕技術を体験しました。
協力:ノアド株式会社(公式HP:http://noadd.today/)

■ 6月に都内映画館で字幕自動生成システムを初活用
2026年6月27日(土)にシネマハウス大塚(東京都豊島区)で開催された『Independent Film Screening 境界線上のキネマ』(第3部)において、「言の橋(Koto-no-Hashi)」初となる劇場環境での字幕上映を実施いたしました。
詳細リリース:https://intro.ne.jp/contents/2026/06/24_2030.html


上映終了後、来場者を対象に字幕の品質に関するアンケートを実施し、満足度は5段階評価で平均3.4でした。自由記述では「アンケートを求められるまで(自動生成だと)気にならなかった。自主映画独特の荒さかと思うほど自然なクオリティだった」といった声が寄せられ、本システムの実用可能性を感じることができました。
■ 7月に世界三大映画祭(カンヌ・ヴェネツィア・ベルリン国際映画祭)上映作品を字幕付きで上映
アート・メディア・エンターテインメントを通じて社会課題に取り組む東京拠点の企業・株式会社SEAMES(公式HP:https://www.seame-s.com/)と共同で、世界の映画祭で評価を受けながら日本未公開のまま埋もれている作品を発掘・買付し、上映と対話の場を創る「未公開映画倶楽部」の第1回上映会を開催しました。


今年初上映された第79回カンヌ国際映画祭 短編コンペティション部門選出作品『The Last Spring』をはじめ、第81回ヴェネツィア国際映画祭 オリゾンティ部門 最優秀短編作品賞受賞作『Who Loves the Sun』、第74回ベルリン国際映画祭 短編金熊賞受賞作『An Odd Turn』に「言の橋(Koto-no-Hashi)」で自動生成した字幕をつけてジャパンプレミア上映をいたしました。
それぞれフランス語、スペイン語、アラビア語の作品でしたが、字幕のおかげでセリフからしか読み取れない情報にも触れることができ、本職の字幕制作者からは現在のAI字幕の精度や改善点についてフィードバックが寄せられ、今後の展望について活発なディスカッションが行われました。
当日作品鑑賞と議論に参加した映画プロデューサーの浦野大輔氏は「映画には『文化の共有』という側面があります。しかし、海外の優れた短編映画を日本へ呼び込むには、ローカライズという資金が壁の一つです。今回の『字幕アプローチの変革』には大きな価値がある。ローカライズのハードルを下げ、世界の最前線の表現や思想に低コストで触れられる機会を増やすことは国内のクリエイティブや視聴者に新たな刺激を与え、停滞する映画産業を飛躍させる確かな起爆剤なるかもしれない」という、今後の展開に期待を込めたコメントを残しています。
■ 「ナナナナ祭2026」での体験イベントについて
2026年7月10日(金)〜12日(日)の3日間にわたって渋谷・100BANCHで開催される「ナナナナ祭2026」に出展し、字幕作品の上映および体験会を実施いたします。世界三大映画祭の受賞・選出作品の字幕付き上映のほか、字幕が生成されるプロセスの簡単な解説や、実際にご自身の作品を持ち込んで英語字幕の作成も体験いただけます。
実施概要
イベント:ナナナナ祭2026 DEMO DAY「字幕祭〜字幕自動生成の試みとその裏側〜」
日時:2026年7月10日(金)、11日(土) 12:00〜20:00
7月12日(日)12:00〜18:00
会場:100BANCH 2F(東京都渋谷区渋谷3-27-1)
上映予定作品(追加の可能性あり)
<海外作品→日本語字幕>

『The Last Spring(原題:DERNIER PRINTEMPS)』(2026年制作・15分)
作中使用言語:フランス語 / 作成字幕:日本語字幕
監督:Mathilde BÉDOUET / 声の出演:Caroline KRIEG / 制作会社:Les Films du chou、Luzeronde Films
受賞歴:第79回カンヌ国際映画祭(2026年)短編コンペティション部門 選出
あらすじ: 15歳のマリオンとカミーユは親友同士。二人は期待と興奮を胸に、学校の最後の行事として南の島へと向かう。それは初めての体験に満ちた時間であり、同時に、悩みなどなかった日々が残酷に終わりを告げる瞬間でもあった。
★7月10日(金)19:00~より、ヤグラスペースにて公開上映予定。

『Who Loves The Sun』(2024年制作・19分)
作中使用言語:アラビア語 / 作成字幕:日本語字幕
監督:Arshia Shakiba / 出演:Mahmood AL SALEH / 制作会社:Edessa production
受賞歴:第81回ヴェネツィア国際映画祭(2024年)オリゾンティ部門 最優秀短編作品賞
あらすじ:
戦争に荒廃したシリア北部を舞台に、非公式な石油精製所という過酷な世界と、この”終末後”のような土地で生きる人々の現実に迫る。マームードはこうした操業の中心人物の一人であり、厳しい労働環境と複雑な地域の力学の中を生き抜いていく。
★7月10日(金)19:00~より、ヤグラスペースにて一部上映予定。

『An Odd Turn』(2024年制作・22分)
作中使用言語:スペイン語 / 作成字幕:日本語字幕
監督:Francisco LEZAMA / 出演:Laila Maltz、Paco Gorriz / 制作会社:36 Caballos、Un Puma、The Zanuck Company、Infinity Hill
受賞歴:第74回ベルリン国際映画祭(2024年)短編コンペティション部門 金熊賞(最高賞)
あらすじ:博物館の警備員として働くルクレシアは、経済が混乱に陥っていくアルゼンチンでインフレに苦しんでいる。ある夜、彼女は即席の振り子占いに背中を押され、退職金を投機的な取引に賭けてしまう。彼女の人生は混沌とした状況へと転がり落ちていく。
<日本語作品→英語字幕>

『突然失礼致します!』(2021年制作・194分)
作中使用言語:日本語 / 作成字幕:英語字幕
総監督:熊谷宏彰 / 監督:180人の学生監督たち
あらすじ:全国約100大学が集結し、完全リモートで制作された長編オムニバス映画。
新型コロナウイルスの影響により、課外活動自粛を迫られたことを期に本企画が立ち上がる。
総勢500人の学生が1分以内の映像作品を制作、1本の映画としてまとめた。

『God’s Will Hunting』(2021年制作・59分)
作中使用言語:日本語 / 作成字幕:英語字幕
監督:坂本遼 / 出演:清水日加里、内村黎央
受賞歴:ハンブルク日本映画祭2022入選、はままつ映画祭2022入選
あらすじ:18才の誕生日を迎えた主人公アキは、一通の手紙を目にする。アキはそこで自分が臓器を提供するために育てられた人間であり、近々両親に売られることを知り、逃げ出す。
映像に新しい「言葉の架け橋」を。あなたの作品の字幕を制作・持ち帰りできる体験企画
本企画では、字幕付きの作品を鑑賞するだけでなく、皆様の制作された映像作品に字幕をつけることもできます。事前にご応募いただいた作品に開発中のシステムで字幕を作成し、ナナナナ祭当日に会場で字幕の様子を確認いただけます(当日の持ち込みも可能)。作成した字幕データ(.srtファイル)はお持ち帰りいただけます。字幕の可能性を気軽に体験できるブースとなっておりますので、皆様の作品応募をお待ちしております。
【応募・当日の流れ】
本フォームから作品を応募(事前にこちらで字幕を制作します)
※来場予定日の前日23:59までにご応募ください
会場(渋谷100BANCH 2Fブース)へ来場し、実際の字幕を確認
字幕データ(.srtファイル)をお持ち帰り
作品応募フォーム:https://forms.gle/p9NnXSbCM2urnKLm6
■ 今後の展開
未公開映画倶楽部での上映とナナナナ祭2026での体験展示をもとに、自動字幕作成システムをよりブラッシュアップし、今後の「未公開映画倶楽部」の共催を踏まえて、実証実験を行っていきます。多言語対応の拡充を経て、海外の未公開作品への字幕生成や、国際映画祭・映画マーケットへの応募を検討するインディーズ映画制作者への提供を目指します。
■ 言の橋(Koto-no-Hashi)メンバー紹介

坂本遼
1996年生まれ、東京大学大学院工学系研究科卒。大学在学時に映画制作スピカ1895に所属し、監督・撮影・編集として活動。監督作『雨に濡れたい気持ち』(2018)がはままつ映画祭で新人賞を受賞。現在はデータサイエンティストとして働く傍ら、「みんばすドラマ」の監督・撮影・編集としてTikTok向け短編ドラマを制作。「未公開映画倶楽部」のコアメンバー。

熊谷宏彰
1998年生まれ。映画監督・映画プロデューサー。2023年7月、渋谷・LOFT9で開催された「NEXT MOVIE PARTY」で上映作品の選出を担当し、世界三大映画祭での受賞・選出歴を持つ国内監督作品の上映を企画。2024年2月には第69回ベルリン国際映画祭金熊賞受賞作『シノニムズ』などの特集上映を主催したほか、2025年7月~9月には埼玉県川口市の映画館「第8電影」の劇場公開作品の選定を担当。現在は「未公開映画倶楽部」の企画・主宰を務める。
100BANCHについて

「100年先の世界を豊かにするための実験区」というコンセプトのもと、これからの時代を担う若い世代とともに新しい価値の創造に取り組む複合施設です。パナソニックが創業100周年を迎えることを機に、「常識にとらわれない若いエネルギーの集まりが、100年先の未来を豊かにしていく」という思いから2017年7月7日に設立。
以来、野心的な若者が未来を創造していく一歩を、24時間365日実験可能な「場所」とともに、各分野の第一人者であるメンターによるアドバイス、年間100を超えるイベントや大型展示会などでの発信の「機会」を提供して支援。応募総数約1220件のうち、404プロジェクトを採択(2026年3月現在)し、加速支援を行っています。
ホームページ:https://100banch.com/
「Koto-no-Hashi」はGARAGE Program104期生として採択され、100BANCHで活動しています。

