The Orchard Japanのプレスリリース
北野武監督作と同名タイトルの表題曲「Kids Return」をはじめ、金継ぎの精神と木漏れ日の温もりを宿した全11曲を収録

韓国・ソウル発の4人組シンセポップ・バンド ADOY(アドイ) が、キャリアの新たな章を告げる3rdフルアルバム『KOMOREBI』をリリースした。
結成から9年間、ドリーミーな音像とノスタルジーで若さやロマンスの美しさを描き続けてきたADOY。本作は、これまでの歩みで得た大切な記憶や直面した葛藤を受け止めながら、自らを定義づけてきた音楽的アイデンティティを再発見した意欲作。割れた陶器を漆と金で美しく修復する日本の伝統技法「金継ぎ」のように、再生と再構築のプロセスを経て、彼らのシグネチャーサウンドはさらなる深みと成熟を獲得した。
多彩なコラボレーションと深化したサウンド
全11曲からなる本作は、先行リリース曲「Gooood」および「KONA」で幕を開け、心地よいメロウなリズム、豊かなメロディ、そして情緒あふれるサックスのアレンジが聴く人を包み込む。従来のシンセポップを基軸にしながらも、緻密な音響構築とジャンルを横断するコラボレーションによって音楽的領域を押し広げていく。
そして本作を彩る豪華なコラボレーションにも注目が集まっている。「Omega」にはPassion Pit(パッション・ピット)やHoly Ghost!(ホーリー・ゴースト!)の楽曲を手掛けた敏腕プロデューサー/ミキシングエンジニアのAlex Aldi(アレックス・アルディ)が参加し、緻密で洗練されたサウンドスケープを構築。また、実力派韓国人シンガーソングライターのキム・スヨン(Kim Suyoung)を迎えた「No Repeat」や、バンドのベーシストであるチョン・ダヨン(Jung Dayoung)のドリーミーで透明感あふれるボーカルをフィーチャーした「ROMI」など、多彩な才能が交錯することで作品の持つ音楽的魅力がいっそう深められている。
ADOY (아도이) – Kids Return [M/V]
リードトラック「Kids Return」に込められたメッセージ
北野武監督の映画と同名タイトルを冠した表題曲「Kids Return」は、本作の核となるメッセージを表現しています。「過去を受け入れ、新たな意志を持って前へ進む」——バンドの旅路はまだ終わらないという前向きなメッセージが込められた。
アルバムタイトル『KOMOREBI』
木々の葉の間から差し込む陽光を表す日本語「木漏れ日(KOMOREBI)」は、アルバム全体に流れる温かさ、ノスタルジー、そして静かな希望を象徴。音楽的なアイデンティティを無理に作り直すのではなく、「自分たちが何者であり、自らの音楽が何を意味するのか」への深い理解のもとで制作された本作は、一つの区切りではなく、ADOYにとっての“新たな章の始まり”を告げる作品となっている。
ADOY (아도이) – Gooood [M/V]
■ ADOY(アドイ):プロフィール

2017年に韓国・ソウルで結成された4人組シンセポップ・バンド。メンバーは、オ・ジュファン / Oh Juhwan(Vo/Gt)、ZEE(Syn)、チョン・ダヨン / Jung Dayoung(Ba)、パク・グンチャン / Park Geunchang(Dr)。
インディーならではの独創性と、大衆を引きつけるポップなソングライティング、ノスタルジックなメロディ、洗練されたシンセサウンドを融合させたスタイルを自ら「Commercial Indie(コマーシャル・インディー)」と定義づける。
2017年のデビューEP『CATNIP』は韓国インディーチャートで幾度も1位を獲得。楽曲「Grace」が2018年韓国大衆音楽賞(KMA)最優秀モダンロック楽曲賞にノミネートされたほか、続くEP『LOVE』は韓国Apple Musicのエレクトロニックチャートで1位を記録した。2019年にはYES24 Live Hall(ソウル・キャパシティ2,000人)での単独公演をソールドアウトさせ、第28回ソウル歌謡大賞で審査員特別賞を受賞、韓国大衆音楽賞に累計3度ノミネートされている。
また、アジア各国(香港、マニラ、バンコク、シンガポール、台北)をはじめ、米「SXSW」、オーストラリア「SXSW Sydney」、独「Reeperbahn Festival」、タイ「Mahorasop Festival」など世界各地の大型フェスに出演し、国際的なファンベースを確立。さらに、Levi’s、Fender、Jameson、Samsung Galaxyといった世界的ブランドとのコラボレーションも展開。
2023年には、台湾の落日飛車(Sunset Rollercoaster)やタイのPhum Viphuritら海外アーティストが参加したリメイクEP『us』を発表。結成9年を迎えた現在も、独自のサウンドを進化させながら国境を越えて支持を広げ続けている。
■リリース情報
ADOY(アドイ)
ニュー・アルバム『KOMOREBI』配信中
配信リンク:https://orcd.co/adoy_komorebi
レーベル:Angel House

Tracklist:
1 Gooood
2 KONA
3 Kids Return
4 Time’s a Thief
5 Omega
6 ROMI
7 ASK
8 Zebra
9 No Repeat (feat. Kim Suyoung)
10 Gush
11 Romantic
■Music Videos:
「Kids Return」https://youtu.be/YSWY-jXUSL8
「Gooood」https://www.youtube.com/watch?v=QshYv4eUoXg
Follow ADOY:
YouTube: https://www.youtube.com/@ADOYband
Instagram: https://www.instagram.com/adoyband
Facebook: https://www.facebook.com/adoyband
「ばかやろう、まだ始まっちゃいないよ」:ADOY [KOMOREBI] ライナーノーツ
本当は、わかっていた。ADOYの描く風景が、現実には存在しないということを。ADOYの描く青春、ADOYの描くロマン、ADOYの描く郷愁。彼らの音楽が通り過ぎたあと、山のように積み重なって残る感情のすべてが、幻にすぎないことなど、誰もが知っていた。わかっていながら、騙されていた。いや、騙されたかったのだ。自分をここではないどこかへ連れていってくれること。それこそが、音楽に与えられた使命なのだから。聴く人それぞれの体温に合わせて屈折した世界に、ふと現れる蜃気楼のような幻影。たとえそれが幻だと知っていても、胸いっぱいに抱きしめていたかった。九年前、一枚のEPからふと始まったバンド、ADOYの旅は、そんな想いが一つひとつ積み重なってできた道の上にあった。
そして、ほかならぬその道の上で、ADOYは揺らいだ。傍目には順調に航海を続けているように見えたが、その内側はそうではなかった。何が原因だったのか、はっきりと説明することもできないまま、時間が、心が、少しずつ霞んでいった。それはまるで、魔法にかけられた回転木馬のように、ADOYの音楽の中をいつまでも巡り続ける、あの風景に似ていた。時が流れるにつれ、ひびが入り、錆びつき、色褪せていく景色が、タイムラプス映像のように目の前に広がっていく。そこには、見慣れたセピア色のフィルターがかかっていた。どうしても認めたくないものが、指の隙間からするするとこぼれ落ちていくのを、ただ無力に見つめていた。出口の見えない、誤った循環のトンネルへ、足を踏み入れたばかりだった。
どうにかそのトンネルを抜け出したADOYは、あの時期を「金継ぎ」にたとえた。割れたり、ひびの入った陶器を、金粉や銀粉を用いて修復する、日本独自の伝統工芸技法である。アルバムのタイトルになる可能性もあった言葉だ。長くそばに置いてきたもの、あるいは、いつしか忘れかけていたものを、もう一度胸に抱き、丁寧に手を入れる。そうして生まれたADOYのニューアルバム『KOMOREBI』は、紛れもなくADOYでありながら、以前とは少し違うADOYでもあるという運命を、生まれながらに背負っていた。ADOYという名前でどこまで行けるのだろうと、好奇心に満ちた瞳をあちこちへ向けていた彼らが、今、見つめているもの。それは、両足でしっかりと踏みしめている、ここ、この場所。そして、ADOYという名前そのものだ。
アルバムのリリースに先駆けて公開された「Gooood」と「KONA」は、『KOMOREBI』が示す、まさにその姿勢を体現している。同じ色彩のパレットに収まりながらも、それぞれに異なる表情を持つ二曲。じんわりと響くビート、みずみずしいメロディー、そして魔法のように耳にまとわりつくサックスの音色に身を委ねていると、ここは確かに、私たちの知っているあの場所なのだという安堵が、自然と胸に広がっていく。抗いがたい懐かしさと心地よさで鮮やかなスタートを切った彼らは、自分たちが誰よりもよく知り、得意とする方向へ、迷いなくハンドルを切る。いつ、どこで聴いても心地よい、爽快なドライブ感が際立つ「Time’s a Thief」や「ASK」。そして、変則的なリズムと、Passion PitやHoly Ghost!などとの仕事で知られるプロデューサー兼ミキシングエンジニア、Alex Aldiとのコラボレーションが光る「Omega」。ADOYとともに過ごした、あの心地よいひと季節を覚えているリスナーなら、誰もが懐かしく、嬉しく迎えることだろう。
新しい味わいを追い求めるのではなく、味わいを深めることで変化を生み出す。それこそが、円熟したバンドだけに許された、とっておきの切り札なのかもしれない。ダヨンの幻想的なボーカルとともに、アルバムの真ん中で確かな重心を担う「ROMI」。ADOYらしいパステルカラーのシンセポップに、シンガーソングライター、キム・スヨンのひんやりと澄んだ歌声を添えた「No Repeat」。そして、無限に広がる宇宙の中で、ただ一つの光を追いかける、ADOYが最も得意とするラブソング「Romantic」まで。『KOMOREBI』が目指すものは、はっきりしている。いつかの自分たちでも、誰かほかの人でもない。今のADOYが考える、そして今のADOYにできる、最高のものを詰め込むこと。アルバムを通して、もはや揺らぐことのない、その「良いもの」たちが、惜しげもなく溢れ出してくる。目に映るものを、どこからでもひとつかみすれば、私たちが愛したあの風景、あの風、あのリズムが、花びらのようにあたり一面へと舞い散る。
タイトル曲「Kids Return」は、北野武監督の名高い映画と同じタイトルを持つ。映画を直接思い浮かべて名付けたというよりも、さまざまな連想を重ねた末にたどり着いたタイトルだという。それでもなお、この作品が『KOMOREBI』の目指す、今のADOYの姿と不思議なほど重なっているのが面白い。映画の終盤、どうにか生き抜いてきた二人の主人公は、自転車に乗って、かつて通っていた学校の校庭をぐるぐると回りながら、こんな言葉を交わす。「俺たち、もう終わっちゃったのかな」「ばかやろう、まだ始まっちゃいないよ」。本当に、ばかみたいなほど何度も繰り返される「We all love you」という歌声の向こうに、ひび割れ、錆びついた場所を、愛おしそうに、丁寧に手入れしているADOYの後ろ姿が浮かぶ。しばらく黙って見つめたあと、その背中をぽんと叩いて、「まだ始まっちゃいないよ」と声をかけたくなる。そんなアルバムなのだ。アルバムタイトル『KOMOREBI(木漏れ日)』は、木々の葉の間から差し込む陽の光を意味する。目の前で揺らめく温かな光と、きらめく汗の粒。その向こうで、ADOYは再びスタートラインに立った。新しい始まりだ。
キム・ユナ / 音楽評論家
ーーThe Orchard Japanは、音楽配信とアーティスト&レーベルサービスにおけるテクノロジーを駆使したディストリビューター。ニューヨークに本社を置き、世界45以上の市場でアーティストがグローバルに活躍し、最大限のパワーを発揮するための多角的サポートをしている。

